
当院には、新しくできたシミにお悩みの方が毎日のようにご相談にいらっしゃいます。
なかでも、年代を問わず見られるシミの一つが「ADM(後天性真皮メラノーシス)」です。そこで、今回は、このADMについて詳しく解説します。
ADMは正しい診断と治療で改善できる

ADM(後天性真皮メラノーシス)は、専門的な診断と適切なレーザー治療によって改善が期待できるシミです。
セルフケアでは変化が出にくく、肝斑やそばかすと見た目が似ているため、自己判断での治療は効果が得られないこともあります。的確に改善するためには、信頼できるクリニックで医師の診察を受け、医学的根拠に基づいた治療を選ぶことが大切です。
ADMと一般的なシミの違いを理解する

ADM(後天性真皮メラノーシス)は、一般的なシミのように紫外線が原因ではなく、遺伝的な要因や思春期以降のホルモンバランスの変化などが関係して起こる「あざ」の一種です。
皮膚の浅い部分にできるシミとは異なり、ADMは皮膚の深い真皮層にメラニンが沈着することで発生します。そのため、美白化粧品などのセルフケアでは改善が難しく、効果を実感しにくいのが特徴です。
見た目は灰色や青みを帯びた細かな点状のくすみが、両頬や目の下などに左右対称に現れます。紫外線の影響を受けにくい分、スキンケアでは変化が出にくく、改善には医療用レーザーによる治療が有効です。
関連記事:シミの種類と見分け方|原因別の特徴・治療法・予防法を徹底解説
自己判断や誤診が改善を遅らせる理由
自己判断や誤診が改善を遅らせる理由はシミの原因と治療法が全く違うからです。
ADMは肝斑やそばかすと見た目がよく似ているため、自己判断でスキンケアや市販の治療を続けてしまうことがあります。
しかし、ADMは真皮層に色素が沈着する「あざ」の一種であり、一般的なシミとは構造や治療法が異なります。肝斑用の美白ケアやトーニングレーザーなどを誤って行うと、かえって色素が濃くなるなど症状を悪化させることもあります。正確に見分けるには皮膚科での診察が不可欠で、信頼できるクリニックによる判断のもとに治療を進めることが改善への近道です。
関連記事:シミ取りで後悔しないために|失敗例・悪化の原因・正しい治療と対策を徹底解説
ADMが悪化して見える原因と放置リスク
ADMは放置すると色が次第に濃く見えるようになり、肌のくすみ全体が悪化したように感じることがあります。
紫外線や摩擦、ホルモン変化により真皮層のメラニンが刺激されると、より改善に時間がかかってしまいます。さきほど説明したようにセルフケアでは効果が出にくいため、早期に皮膚科で診察を受けることが重要です。
なぜ美白化粧品が効きにくいのか

ADMに美白化粧品が効きにくいのは、化粧品の作用が届く範囲が浅く、ADMが沈着する深い層まで届かないためです。ADMは皮膚の真皮層にメラニンがたまるタイプのシミで、一般的な美白成分が作用する表皮には影響が限られます。そのため、毎日丁寧にケアしても変化が感じられにくく、効果が出にくいのです。例えるなら、布の表面を洗っても内側に染み込んだ汚れは落としにくいのと同じです。
根本的に改善するには、真皮層に直接作用する医療用レーザー治療が有効です。
放置すると色が濃く見える?
ADMをそのままにしておくと、色が濃く見えるようになることがあります。
特に肌が乾燥していたり、こすれが続いたりすると、周囲の肌とのコントラストで影のようにくすみが目立ちやすくなります。さらに、ファンデーションを重ねることで灰色っぽく見えることもあり、メイクで隠そうとするほど悪化して見える場合があります。放置せず、早めに専門医の診察を受けて適切な治療を行うことが重要です。
ADMの診断方法と受診の流れ
ADMの診断から治療までの流れを一般的なクリニックの例を用いてご説明します。
カウンセリングのご予約

まず電話やWEBで予約。問診票に症状の経緯や生活習慣、スキンケア状況を記入します。
カウンセリング当日
カウンセリング

カウンセリングでは、カウンセラーが患者さまのご要望をはじめ、お悩みや生活習慣をヒアリングいたします。
医師の診察・契約

カウンセラーが患者さまの症状の詳細を医師にしっかりと共有し、その後、医師が直接お話を伺いながら診断を行います。そして、診断結果に基づいて、患者さま一人ひとりに適した治療プランを丁寧にご提案いたします。診断結果と治療プランについて患者さまにご納得いただいた後、ご契約の手続きを行います。その後、施術の日程を調整してご予約を確定し、後日に施術を実施します。
施術当日
施術

治療プランに基づいて施術を行い、終了となります。施術後は肌がデリケートな状態のため、クリニックによっては、治療後の注意点を詳しく説明し、必要に応じて炎症や色素沈着を抑える薬を無料で処方しています。
多くのクリニックでは、ADMの診断と施術日が別々になることが一般的です。診断の際に肌の状態をしっかり確認し、その後の治療計画に沿って施術日を調整します。施術間隔はおおむね4~6週間が目安で、初回の反応を見ながら無理のないスケジュールを組むことが大切です。このため、受診時は自身の予定も考慮し、余裕をもったスケジュール調整を行うことが重要です。こうした計画的な対応が、治療効果を高めるポイントとなります。
医療機関での診察で確認するポイント

医療機関での診察では、発生時期、左右対称性、色調、深さ、さらに他の皮膚疾患との違いなどを細かくチェックします。
特に効果の高いクリニックでは、目視だけでなく肌診断機器を用いて第三者的な視点からも検査を行い、より正確な診断を行います。これにより、患者さま一人ひとりに最適な治療プランが立てられます。
まずは無料カウンセリングを

当院は開院20年以来、65,000件以上の肌トラブルに対応してきました。目視だけでなく、最新肌診断機器を活用し、正しくシミの種類をチェックいたします。まずは無料カウンセリングで、あなたの肌に合った最適なプランをご提案させていただきます。
ADMの治療法と改善の目安
ADMはレーザー治療が効果的であることは既にお伝えしましたが、さらにピーリングや外用薬を組み合わせることで治療効果を高めることが可能です。レーザーで真皮層のメラニン色素にアプローチしつつ、ピーリングで表皮のターンオーバーを促進、内服薬や外用薬でメラニンの生成抑制や炎症軽減を補助します。これにより、効率的かつ総合的な治療が期待できます。各治療の詳細について下記よりご紹介します。
ピコレーザー(ピコシュア)

ADMに対して最も有効な治療法はレーザー治療であり、中でもピコレーザーは非常に効果的です。
ピコレーザーは1兆分の1秒という極めて短いパルスでメラニン色素を微細に破砕し、 体内の代謝で徐々に排出させるメカニズムを持っています。これにより、肌へのダメージを抑えつつ深部の色素沈着にアプローチすることが可能です。
治療回数・期間・費用の目安
| 項目 | 一般的な目安 | 改善スケジュール例 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 治療回数 | 3〜5回 | 3〜6ヶ月ごとに1回の治療を複数回 | 1回あたり約15,000~55,000円(税込) |
| 治療期間 | 約1年程度 | 約1年で徐々に色素が薄くなっていく | – |
| 治療方法 | ピコレーザーが最も効果的 | レーザーと併用するピーリング、内服薬・外用薬もあり | 総額で約60,000~200,000円程度(範囲や個数により変動) |
ADMの治療は、1回目の施術から効果を実感する方もいますが、根本的な改善には3回から5回程度の施術が必要で、約1年かけて徐々に薄くなっていきます。 肌の状態に合わせて3~6ヶ月ごとに1回の施術間隔を確保するため、計画的な治療が重要です。費用はクリニックにより異なりますが、総額で約60,000円から200,000円程度が一般的な目安となっています。治療回数や費用は患者さまの症状や肌質により変動しますので、詳しくは医師にご相談ください。
ピーリング

ピーリングは表皮の古い角質を除去し、ターンオーバーを促進する治療法です。これにより、肌の生まれ変わりが正常化し、透明感やハリが向上します。
ADMの治療では、レーザーで深部の色素を破壊するのに加え、表皮のターンオーバーを促すことで、メラニンの排出を助け、治療効果の向上に寄与します。このように、ピーリングはADM治療を補助する重要な役割を果たします。
治療回数・期間・費用の目安
| 項目 | 治療回数の目安 | 治療期間の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| ピーリング | 5~12回程度 | 約6ヶ月~1年程度 | 1回あたり約13,000~20,000円(税込) |
ピーリングをレーザー治療と併用することで、治療効果が最大化されます。例えば、ピーリングで古い角質が除去されるため、レーザーのエネルギーが肌内部に均一に届きやすくなります。その結果、同じ効果を得るための施術回数が約3〜5回から2〜3回に減り、総治療期間も6ヶ月程度と短縮可能です。
ハイドロキノン
ハイドロキノンは主に外用薬として用いられ、メラニンの生成を抑えて色素沈着を予防します。ADMの治療では、レーザー治療やピーリングと併用し、表皮のメラニンを薄くする役割を果たします。
治療回数・期間・費用の目安
| 項目 | 治療回数の目安 | 治療期間の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| ハイドロキノン | 3~6ヶ月間、毎日または医師指示で毎晩使用 | 3ヶ月~6ヶ月程度 | 1個(約10g)5,000円前後 (1個で大体約2~3ヶ月程度) |
ハイドロキノンをレーザー治療と併用すると、治療期間を約1年から6ヶ月程度に短縮でき、施術回数も約半分に減らせる場合があります。費用面でも施術回数が減ることで、総額が1.5倍~2倍の効率化が期待できます。これは、ハイドロキノンが色素沈着の予防とメラニン生成抑制を行い、レーザーの効果を増強するためです。ピーリングと併用することでさらに効率的な治療効果を見込めます。
関連記事:シミ治療に効く?ハイドロキノンの効果・使い方・副作用まで徹底解説
施術中の痛みやダウンタイムについて
レーザー照射時の痛みは、輪ゴムで弾かれる程度の軽い刺激と言われています。一般的なダウンタイムは赤みが数日続き、照射部に薄いかさぶたが数日から1週間ほどで自然に剥がれます。通常のレーザー治療では7〜10日ほどの回復期間が必要ですが、ピコレーザーは照射出力が非常に短いためダウンタイムがほとんどなく、当日からメイクや仕事復帰が可能です。赤みも軽度で、日常生活への影響が少ないのが特長です。
関連記事:シミ取りレーザーのダウンタイム期間と症状・過ごし方完全ガイド
まずは無料カウンセリングを

当院は開院以来19年にわたり、累計64,000件以上の肌トラブルに対応してまいりました。特にADMに高い効果を持ち、ダウンタイムが少ない最新のピコレーザー機器「ピコシュア」を導入し、最適な治療を提供しています。まずはお気軽に無料カウンセリングにお越しいただき、ご相談ください。
再発を防ぐために意識すべきポイント
再発を防ぐためには、日々の紫外線対策が最も重要です。 治療後の肌は特にデリケートなため、日常の紫外線対策・摩擦回避・保湿が有効的です。
これらのポイントを日常生活で意識し、長期的なケアを続けることで治療効果を維持し、再発リスクを抑えられます。詳しいポイントについて下記でご紹介いたします。
スキンケア方法

色素沈着を予防するための基本的なスキンケアは、優しく丁寧な洗顔、しっかりとした保湿、そして美白成分を含む化粧品の適切な使用です。 洗顔は強くこすらず、泡で包み込むように優しく行い、肌への摩擦を避けましょう。保湿は洗顔や入浴後5分以内に、セラミドやヒアルロン酸配合のアイテムで行います。美白剤としてはビタミンC誘導体やトラネキサム酸配合の製品がおすすめです。使用頻度は朝晩の2回、日焼け止めも忘れずに、適時塗り直しましょう。これらのケアを継続することで色素沈着の予防効果が期待できます。
紫外線対策と習慣改善

紫外線対策には、まず適切な日焼け止めの使用が不可欠です。日焼け止めは、SPFやPA値を生活シーンに合わせて選び、1回の使用量は顔全体で1円玉大を目安に、5点置きしてムラなく優しく伸ばします。 また、2~3時間ごとのこまめな塗り直しも効果的です。 帽子や日傘の活用も忘れず、直射日光を避けましょう。さらに、肌への摩擦や刺激を避けるため、優しいタオルドライや洗顔を心がけ、保湿を十分に行うことも重要です。 こうした習慣改善により、紫外線による色素沈着の予防につながります。
関連記事:日焼けが招くシミの原因と予防・改善法|紫外線対策から治療まで徹底解説
まとめ
ADMは正しい診断と治療で改善できます。ADMは一般的なシミと異なり、真皮層に色素が沈着し、青灰色の斑点が左右対称に現れます。自己判断や誤診は治療の遅れにつながるため、専門医の診察とダーモスコピーやウッド灯検査での正確な診断が重要です。
ADMが悪化して見えるのは、メラニン生成活性が続くためで、美白化粧品が効きにくく、放置すると色が濃くなる恐れがあります。早期治療の開始が望ましいです。
診断後は、ピーリング、ピコレーザー(ピコシュア)、ハイドロキノン、トレチノインなどの治療法があり、それぞれ回数、期間、費用の目安を理解しながら継続的に行います。
再発防止には、摩擦を避けた洗顔や保湿、美白成分の適切な使用、日焼け止めの塗り直し、帽子・日傘の活用など紫外線対策を徹底し、日常の習慣改善が不可欠です。これにより、治療効果の維持と色素沈着の再発リスク軽減が期待できます。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



