
先日、患者さまから「シミ取りクリームは本当に効くのか」「市販品と何が違うのか」というご相談を受けました。シミ取りクリームは、正しい知識を持たずに使うと効果を感じにくく、使い方を誤ると肌トラブルにつながることもあります。そこで今回は、皮膚科で処方されるシミ取りクリームの効果と限界、どのようなシミに向いているのかを解説します。
皮膚科のシミ取りクリームは本当に効く?市販品との決定的な違い
皮膚科のシミ取りクリームは、美白目的ではなく「シミを改善する治療」として使われる点が最大の違いです。市販品とは成分の濃度や使い方、管理体制が異なるため、シミへの作用の深さが変わります。この違いについて下記より詳しく解説いたします。
市販のシミ取りクリームは「予防」やくすみ対策が中心

市販のシミ取りクリームは、今あるシミを消すというより「これ以上濃くしない」「くすみを目立ちにくくする」役割が中心です。配合されている成分は、メラニンの生成を抑えるものが多く、効果は穏やかです。
たとえば日焼け後のケアや、うっすらした色ムラには向いていますが、数年かけてできたシミを短期間で薄くする力は期待しにくいです。継続することで予防効果は得られますが、治療というよりスキンケアの延長と考えるのが適切です。
皮膚科の処方クリームは「今あるシミの改善」を目的とする

皮膚科で処方されるシミ取りクリーム(外用薬)は、すでにあるシミを薄くすることを目的に使われます。
メラニンがたまっている部分に直接作用し、肌の生まれ変わりを促す点が特徴です。市販品では扱えない成分や濃度が使われるため、効果が出やすい反面、使い方を誤ると赤みや皮むけが出ることもあります。
そのため、診断を行い、シミの種類に合った処方を行うことが前提になります。自己流ではなく、治療として位置づけることが重要です。
効き目の差は成分濃度と医師管理にある

効果の差が生まれる最大の理由は、有効成分の濃度と医師の管理体制にあります。
皮膚科処方のシミ取りクリーム(外用薬)は、市販品よりも濃度が高く設定されており、その分だけ作用もはっきりしています。ただし、肌への刺激も強くなるため、使用量や頻度を細かく調整する必要があります。医師が肌状態を確認しながら進めることで、副作用を抑えつつ効果を引き出せます。「効くかどうか」ではなく、「安全に効かせられるか」が市販品との決定的な違いです。
シミ治療の二大主役|ハイドロキノンとトレチノインの役割
皮膚科で行うシミ取りクリーム(外用薬)によるシミ治療は、ハイドロキノンとトレチノインをどう使い分け、どう組み合わせるかが結果を左右します。
どちらも「シミに効く薬」として知られていますが、役割はまったく異なります。この違いを理解せずに使うと、効果が出ないだけでなく、肌トラブルの原因になることもあります。下記よりそれぞれの働きについて解説いたします。
ハイドロキノンはメラニン生成を抑える「守り」の成分

ハイドロキノンの役割は、新しいシミを作らせないことにあります。
シミの原因となるメラニンは、紫外線や炎症をきっかけに肌の中で作られますが、その過程でシミを生成する働きをしているのが「チロシナーゼ」という酵素です。ハイドロキノンは、このチロシナーゼの働きを抑える作用があり、メラニンが作られる流れそのものをブロックします。
そのため、今あるシミを一気に消すというより、「これ以上濃くしない」「再発を防ぐ」目的で使われる薬と考えると分かりやすいでしょう。治療中だけでなく、シミが薄くなった後の状態を安定させるためにも使われています。ハイドロキノンについて詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:シミ治療に効く?ハイドロキノンの効果・使い方・副作用まで徹底解説
トレチノインはターンオーバーを促す「攻め」の成分

トレチノインは、すでに肌にたまっているメラニンを外へ押し出す働きを持つ外用薬です。
肌の生まれ変わりを強く促し、古い角質と一緒にメラニンを排出するため、シミを薄くする効果が期待できます。その一方で、赤みや皮むけといった反応が起こりやすく、使い方を誤ると刺激が強く出ます。効果が高い分、医師の管理下で段階的に使う必要がある成分です。
併用療法が選ばれる理由は「追い出す×作らせない」

ハイドロキノンとトレチノインが併用されるのは、役割が補い合う関係にあるためです。
トレチノインで今あるメラニンを排出し、その間にハイドロキノンで新たなメラニン生成を抑えることで、シミの改善と再発予防を同時に狙うことができます。どちらか一方だけでは効果が不十分になりやすく、治療効率も下がってしまいます。併用することは「強い治療」ではなく、治療効率を上げるための治療計画と考えると理解しやすいでしょう。
皮膚科のシミ取りクリームが効くシミ・効かないシミ
皮膚科のシミ取りクリーム(外用薬)は、すべてのシミに効くわけではありません。
効果が出るかどうかは「シミが肌のどの層にあるか」でほぼ決まります。外用治療は表面に近い層にあるシミに作用しやすく、深い層に原因がある場合は限界があります。
効果が期待できるシミ|表皮にメラニンがあるタイプ

皮膚科のシミ取りクリーム(外用薬)で改善が期待できるのは、表皮にメラニンがたまっているタイプのシミです。
表皮は肌の一番外側に近い層で、トレチノインによるターンオーバー促進や、ハイドロキノンによるメラニン生成抑制が届きやすい位置にあります。シミの輪郭が比較的はっきりしていたり、盛り上がりがなく、触っても平らな場合はこのタイプが多く見られます。時間はかかりますが、正しく使えば少しずつ薄くなる可能性があります。
老人性色素斑・炎症後色素沈着・肝斑(慎重管理)

代表的なのは、加齢や紫外線が原因の老人性色素斑や、ニキビやかぶれの後に残る炎症後色素沈着です。これらは外用治療の対象になりやすいシミです。
一方、肝斑も表皮にメラニンがあるため外用が使われることがありますが、刺激で悪化しやすい特徴があります。使用量や頻度を細かく調整しながら、必ず医師の管理下で行う必要があります。肝斑について見分け方も難しく間違った治療は悪化するリスクが高いので注意が必要です。詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:シミと肝斑の違いを徹底解説|原因・見分け方・効果的な治療法と予防のポイント
シミ取りクリームでは限界があるシミ・アザ

外用クリームでの改善が難しいのは、表皮より深い層(真皮)までメラニンが達してしまっているシミや、そもそもシミではない痣などの症状です。
いくら塗り続けても変化が乏しい場合、このタイプに該当している可能性があります。こうしたケースでは、外用治療にこだわるのではなく、治療方法を切り替えた方が結果的に早く改善することが少なくありません。
ADM・太田母斑・ほくろ・盛り上がりのある病変
ADMや太田母斑は、メラニンが真皮と呼ばれる深い層に存在するため、クリームでは届きません。
また、ほくろや盛り上がりのある病変は、色素沈着ではなく別の皮膚病変であることが多く、外用治療の対象外です。これらはレーザーなどの医療機器による治療が必要になります。ADMに関しては見た目上ほかのシミと区別がつきにくいです。詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:【医師監修】シミADMとは?原因・見分け方と治療法を徹底解説
効果を左右する正しい塗り方とスキンケアの順番
シミ取りクリームは、成分よりも「使い方」で結果が大きく変わります。
正しい順番と量を守らなければ、効果が出ないだけでなく、赤みや色素沈着を悪化させる原因になります。自己流で続ける治療ではなく、スキンケアの一部として正しく組み込む意識が重要です。
夜に行う基本的な使用ステップ

シミ取りクリームは夜のみ、洗顔後の清潔な肌に使用するのが基本です。洗顔後すぐに、化粧水や乳液を塗る前に、シミ部分だけに米粒大以下の量をのせます。顔全体に広げる使い方は刺激が強く、赤みや皮むけの原因になります。塗布後は数分待ち、その後に保湿剤で周囲の肌を守るように整えます。「少量をピンポイントで使う」ことが、効果と安全性を両立させるポイントです。
中に必須となる保湿と紫外線対策

治療中の肌は、普段よりも乾燥しやすく、紫外線の影響を受けやすい状態です。日中は保湿を十分に行い、必ず日焼け止めを使用します。SPF30以上を目安に、シミ部分は重ね塗りを意識すると安心です。紫外線対策を怠ると、せっかく排出されたメラニンが再び作られ、シミが戻る原因になります。日中のケアも治療の一部と考えることが大切です。紫外線のシミの影響については以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:日焼けが招くシミの原因と予防・改善法|紫外線対策から治療まで徹底解説
副作用「A反応」と治療を続けるための考え方
トレチノイン治療では、赤みや皮むけといった反応が起こることを前提に考える必要があります。これを知らずに使うと「肌に合わない」と誤解してしまい、途中で中断してしまうケースが少なくありません。反応の意味を正しく理解することが、治療継続の鍵になります。
A反応はトレチノインが効いているサイン

参考画像にあるような、赤みや皮むけは、トレチノインが肌の生まれ変わりを強く促している結果として起こります。
異常反応ではなく、薬が作用している過程と捉えましょう。ただし、ヒリヒリする痛みが強い場合や、日常生活に支障が出るほどの炎症が起きた場合は医師に相談しましょう。反応の程度を見ながら治療を進めることが重要です。
赤みや皮むけが強いときの調整方法
反応が強い場合は、使用量を半分にする、隔日使用に切り替えるといった調整で落ち着くことが多くあります。
自己判断で完全に中止するのではなく、まずは負担を減らす方向で調整することが基本です。症状が続く場合や自分で判断が取りづらいときは、必ず処方してくれたクリニックに相談し、治療計画を見直しましょう。
効果を保つために必要な休薬期間
トレチノインは、6〜8週間程度の使用ごとに休薬期間を設けることが重要になります。
連続使用を続けると赤みや皮むけが強くなりやすく、肌の回復が追いつかなくなるためです。一般的には1〜2か月使用した後、2〜4週間ほど休薬し、その間に肌状態を落ち着かせます。このサイクルを繰り返すことで、副作用を抑えながらメラニンの排出効果を維持しやすくなります。短期間で一気に改善しようとせず、計画的に続けることが、結果的に色ムラや刺激を残さない治療につながります。
使用前に必ず確認|使えない人と注意点
シミ取りクリームは使えない条件や注意点があります。安全に使うためには、事前確認を怠らないことが重要です。
妊娠中・授乳中・妊娠予定の方は使用不可

ハイドロキノンやトレチノインは、胎児や乳児への影響が完全に否定できないため、妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある方には使用できません。
皮膚に塗る薬であっても、成分が体内に吸収される可能性はゼロではなく、万が一のリスクを避ける必要があります。シミ治療は出産・授乳後でも十分に行えるため、この期間は美白治療を控え、保湿や紫外線対策を中心とした安全なケアに留めることが重要です。
敏感肌・皮膚炎がある場合は事前診察が必須

敏感肌の方や、湿疹・かぶれ・赤みなどの皮膚炎がある場合、シミ取りクリームは必ず医師の診察を受けたうえで使用判断が必要です。これらの薬剤は美白作用がある一方、肌への刺激性もあり、バリア機能が弱っている状態で使うと赤みやかゆみ、炎症の悪化を招くことがあります。現在の肌状態に適しているか、使用量や塗り方を含めて医師が確認することが、安全かつ効果的な治療につながります。
酸化したクリームは使用しない

ハイドロキノンは酸化しやすい成分です。色が濃く変わったクリームは刺激が強くなり、効果も低下します。画像にあるように直射日光や高温多湿は避けて保管し、処方された使用期限を守ることが大切です。
明らかに色が濃い場合やにおいがする場合は使用は控えましょう。
クリームで改善しない場合の「次の一手」
外用治療ですべてのシミが解決するわけではありません。変化が乏しい場合は、次の選択肢を考えることが現実的です。
一定期間で効果が出ない場合は再診が必要

1〜3カ月使用しても薄くならない、むしろ濃く見える場合は診断自体が適切でない可能性があります。
例えば、表皮のシミと思って使い続けていたものが、実際は真皮に原因があるシミであれば、外用だけで改善することは期待できません。また、効果がないまま漫然と使い続けると、刺激や色素沈着など別の肌トラブルを招くこともあります。変化が乏しいと感じた時点で一度立ち止まり、医師に相談して治療方針を見直すことが、結果的に肌への負担を減らす近道になります。
レーザー治療や内服治療を検討するタイミング

外用治療を続けても変化が乏しい場合や早めの改善を希望する場合は、レーザー治療や内服治療への切り替えを検討するタイミングです。
また、シミが複数混在している場合は、レーザーで目立つ部分を治療しながら、内服で再発や色素沈着を抑えるといった併用が選択されることもあります。自己判断で治療を切り替えるのではなく、シミの種類と改善スピードを見極めたうえで治療法を選ぶことが、無駄な遠回りを防ぐポイントです。シミ取り治療の選び方について詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:【最新】シミ取り治療の種類と選び方|レーザー・光治療・内服薬・外用薬まで徹底解説
シミの症例写真【当院症例】
まずは無料カウンセリングを

当院は開院20年以来、65,000件以上の肌トラブルに対応してきました。目視だけでなく、最新肌診断機器を活用し、正しくシミの種類をチェックいたします。まずは無料カウンセリングで、あなたの肌に合った最適なプランをご提案させていただきます。
まとめ
皮膚科のシミ取りクリームは、市販品とは異なり、診断と管理を前提とした治療です。向いているシミ、正しい使い方、副作用への理解がそろって初めて効果が期待できます。自己判断で遠回りするより、早い段階で相談し、自分のシミに合った治療を選ぶことが、結果的に肌への負担を減らす近道になります。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



