
紫外線対策をしているのに、最近シミが増えた気がする…。そんな方は、もしかすると“ストレス”が関係しているかもしれません。実は、ストレスはホルモンバランスや血流に影響し、肌のターンオーバーを乱すことでシミを濃くする要因になることがあります。そこで今回は、ストレスがどのようにシミの発生や悪化に関わるのか、そのメカニズムと日常でできるケア方法を解説します。
ストレスはシミを増やし悪化させる
ストレスはシミを増やし悪化させます。
紫外線対策をしているのにシミが増えた、濃くなった──その原因、実は「ストレス」かもしれません。ストレスは、ホルモンや血流、肌の再生サイクルに影響し、知らないうちにシミを悪化させる要因になります。紫外線だけでは説明できないシミの増加、その裏にある“心と肌”の関係を見直してみましょう。
シミに影響する主な理由
ストレスが続くと、体は「危険から身を守ろう」と反応し、ホルモンのバランスや血流に変化が起こります。
これが肌にも影響し、シミの原因となるメラニンが過剰に作られたり、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が乱れたりします。
たとえば、寝不足や緊張が続いたときに肌がくすんで見えるのもその一例です。ストレスによって肌の回復力が弱まるため、紫外線などの刺激を受けやすくなり、シミが残りやすい状態になります。つまり、シミを防ぐためには外側のケアだけでなく、内側のストレスケアも欠かせません。
メラニンが過剰に作られる

ストレスを感じると、体内で「活性酸素」が多く発生します。
これは本来、体を守るための反応ですが、過剰になると肌内部で炎症を引き起こし、メラニンを作る細胞(メラノサイト)を刺激します。その結果、必要以上にメラニンが作られてしまうことでシミが発生します。さらに、活性酸素はメラニン自体を酸化させ、より黒く濃いシミへと変化させてしまいます。
つまり、ストレスは見えない形で肌の内側に炎症と酸化を起こし、シミを悪化させる原因になるのです。
ホルモンバランスの乱れ

ストレスが続くと、ホルモンバランス(自律神経)が乱れると、ターンオーバーのタイミングが遅れてしまいます。
その結果、本来なら約1か月ほどで入れ替わる肌のサイクルが、ストレス状態では最大1.4倍ほどかかり、古い角質が肌表面に長くとどまりやすくなります。イメージとしては、本来なら1か月ごとに動いている“肌の引っ越し作業”が、ストレスによって1か月半以上に引き伸ばされている状態です。
このサイクルの遅れにより、内部で作られたメラニンがスムーズに押し流されず、シミとして肌に残りやすくなります。
紫外線以外で見落とされやすい要因
紫外線対策をしっかりしていてもシミが増える──その意外な原因は「生活習慣」に潜んでいます。睡眠不足や溜まった疲労が、肌の内側からターンオーバーを乱し、メラニンを溜め込みやすくします。毎日の小さな積み重ねがシミを招く理由になります。
睡眠不足

睡眠不足は、肌の修復を担う成長ホルモンの分泌を減らし、シミを増やしやすくします。
夜間に十分眠れないと、このホルモンがきちんと出ず、肌の生まれ変わりサイクルが乱れます。結果、くすみやシミが目立ち始め、シミが定着しやすくなります。
慢性的な疲労

慢性的な疲労は、血行を悪くし肌の回復力を落とすため、シミを濃く残しやすくします。
疲れが溜まると体内の血流が滞り、肌に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。これにより、夜間の肌修復作業が遅れ、ターンオーバーが乱れます。たとえば、毎日のデスクワークで肩が凝りっぱなしの状態が続くと、肌表面の古い角質が剥がれず、メラニンが溜まってシミが薄れなくなります。
結果、紫外線ダメージが残りやすく、くすみや斑点が目立つようになってしまいます。
ストレスが関係しやすいシミの特徴
ストレスが関係しやすいシミは、炎症後の色素沈着や元々薄かったシミが急に濃くなるタイプです。
すべてのシミが紫外線だけが原因ではなく、ストレスで内側から悪化するものもあります。自分のシミがどのタイプか知ることで、無駄なケアを避け、本当に効く対策が見えてきます。
炎症性色素沈着

炎症性色素沈着は、ニキビや肌荒れの跡が茶色く残るシミで、ストレスがきっかけになりやすいタイプです。
普通のシミとは違い、炎症が起きた後にメラニンが過剰に作られ、残りやすいのが特徴です。日常の小さな刺激が積み重なることで起こってしまいます。
ニキビや摩擦後になぜできる?

ニキビや摩擦後に炎症性色素沈着ができるのは、肌の傷ついた部分でメラニンが過剰に作られるからです。
たとえば、ニキビを掻き壊したり、マスクの擦れで赤みが出たりすると、そこに炎症が起き、メラニンを作る細胞が活発になります。その炎症が治まった後も、メラニンが残り、茶色い跡としてシミ化します。
マスク生活で頬が擦れてできた薄いシミや、寝る前のスマホ触りでできた小さな跡もこれです。日常のささいな刺激が積み重なると、意外に目立つシミになってしまいます。こうした跡は、早めに優しい保湿でケアすると薄れやすくなります。
刺激が続く
同じ場所に刺激が繰り返されると、色素沈着が長引くのは、肌の修復が追いつかなくなるからです。
たとえば、マスクの擦れやメイクのこすれが毎日続く頬の部分では、炎症が何度も起き、メラニンがどんどん積み重なります。一度できた色素が薄れる前に次の刺激が加わるため、茶色い跡が数か月残ってしまうのです。ストレスが加わると、こうした炎症がなかなか治まらず、回復がさらに遅れます。忙しい毎日の習慣を見直し、優しいタッチで触れるようにすると、色素が抜けやすくなります。
既存のシミが目立ちやすくなるケース
ストレスが関係するシミの2つ目は、既存のシミで、既存のシミが目立つようになってしまいます。
その原因は、メラニンの蓄積と肌の防御力低下が要因です。
「最近、薄かったシミが濃くなった気がする」──そんな変化に不安を感じている方は少なくありません。ストレスが内側からメラニンを増やし、紫外線ダメージを受けやすくする理由を理解すれば、毎日のケアが変わります。
排出されないメラニンが蓄積
ストレスによりターンオーバーの低下が起きてしまうと、作られたメラニンが排出されず、肌に蓄積し、シミが薄くならなくなってしまいます。
通常、肌は約1か月で古い部分が剥がれ、新しい層に置き換わりますが、ストレスでこのサイクルが遅れると、メラニンが表面近くに留まり続けます。その影響で、メラニンが積み重なるごとに色が濃くなり、今あるシミが毎日のように目立つようになります。こうした蓄積を防ぐには、肌のサイクルを整える習慣が欠かせません。
紫外線と重なり濃く見える要因
ストレスで肌の防御力が落ちると、紫外線がシミをより濃く見せてしまいます。
通常、肌は紫外線から守るバリア機能がありますが、ストレスが血流を悪くし、このバリアが弱まります。その隙に紫外線が入り込み、すでに溜まったメラニンを活性化させて色を濃くしてしまいます。
たとえば、忙しい時期に外出して日差しを浴びると、頰の薄いシミが急に目立つのはこのためです。ストレス単独でも悪化しますが、紫外線と重なることでダメージが倍増し、くすみや斑点が悪化しやすくなります。毎日の日焼け止めを欠かさず、ストレスケアを併用すると効果的です。
ストレスによるシミを防ぐ生活習慣
ストレスによるシミを防ぐには、治療だけでなく「生活習慣の立て直し」が土台になります。
鍵になるのは、睡眠と自律神経を整えること、食事と栄養による内側からのケア、そしてストレスを溜め込みにくくする日常の工夫の3つです。
これらを整えることで、シミの元になるメラニンが過剰に作られにくくなり、できてしまったシミも悪化しにくい肌環境に近づきます。いきなり完璧を目指す必要はありませんが、毎日の選択を少し変えるだけでも、将来の肌は大きく変わっていきます。
睡眠と自律神経を整える

睡眠と自律神経を整えることが、ストレス軽減とシミ予防の基盤になります。
1日7〜8時間の質の良い睡眠を取ることで、体内の修復ホルモンがしっかり働き、肌のターンオーバーが正常化します。
たとえば、夜更かしを避けると翌朝のくすみが軽減し、シミの悪化を防げます。自律神経が安定すればストレスホルモンが抑えられ、メラニン過剰生成も起こりにくくなります。毎晩のルーチンを見直すだけで、肌の内側から変化を実感できます。
睡眠の質
睡眠の質が低いと、肌の再生が追いつかずシミができやすくなります。
睡眠時間だけでなく、入眠後の深い眠りの割合や毎日のリズムが重要で、これらが乱れると成長ホルモンの分泌が減り、ターンオーバーが遅れます。
たとえば、夜中に何度も目が覚める浅い眠りが続くと、朝の肌がくすんで見え、メラニンが排出されにくくなります。一方、規則正しく22時頃に寝て朝6時頃に起きる習慣で深い眠りを確保すると、肌の修復が進み、シミの予防につながります。
就寝前の過ごし方
就寝前の過ごし方を整えると、睡眠の質が上がり、肌のターンオーバーがスムーズになります。
就寝2時間前にはスマホをオフにし、入浴は就寝1〜2時間前が理想です。これで深い眠りに入りやすくなり、メラニンの排出を助けます。
たとえば、夜10時就寝なら8時までにスマホを置き、8〜9時に湯船に浸かると、体温が下がるタイミングで自然に眠れます。他にも、部屋を暗くしてカフェインを夕方以降避けると効果的。こうした工夫で翌朝の肌ハリが違い、シミ予防につながります。忙しくても5分ストレッチを加えるだけで習慣化できます。
食事と栄養による内側からの対策

ストレス対策として、「何を食べて体をどう整えるか」も重要です。
栄養が不足するとストレスに弱くなり、肌の回復力も落ちて、メラニンが溜まりやすい状態になります。逆に、内側の環境が整うと、同じ紫外線やストレスを受けてもダメージを跳ね返しやすくなります。
ビタミンB群・C・E
ビタミンB群・C・Eは、ストレスに負けない体とシミのない肌作りに欠かせません。
ビタミンB群は神経を落ち着かせ、ストレスで消耗しやすいエネルギーを補います。たとえば、豚肉や玄米を日常的に食べると、緊張が和らぎ、肌の修復もスムーズに。
ビタミンCはメラニンを抑え、活性酸素を除去する働きがあり、レモンやブロッコリーで簡単に摂れます。
ビタミンEはこれらを守り、血流を良くして栄養を肌へ届けます。アーモンドやアボカドがおすすめです。サプリも便利ですが、まずは食事から取り入れるのが基本。毎食にこれらを意識するだけで、ストレス耐性と肌の透明感が上がります。
抗酸化作用
抗酸化作用のある食品を摂ることで、活性酸素を抑え、メラニンの過剰生成を防げます。
ストレスで増える活性酸素は肌の炎症を起こし、メラニンを作り出しますが、抗酸化物質がこれを中和してブロックします。
たとえば、トマトのリコピンや緑茶のカテキン、ブルーベリーのアントシアニンが代表的。毎朝トマトをサラダに、緑茶を1杯飲むだけで日常的に取り入れられます。これらをビタミン同様、習慣化することで、肌の内側からくすみが減り、シミが薄れやすくなります。食事の彩りを意識するだけで、抗酸化パワーが自然に高まり、ストレス肌を防げます。
ストレスを溜めない日常の工夫

ストレスを溜めない日常の工夫は、軽い運動・趣味・休息の3つが効果的です。
完璧にストレスをなくす必要はなく、毎日に少し取り入れるだけで肌のターンオーバーが整い、シミ予防につながります。
軽い運動
軽い運動は、ストレス対策とシミ予防の両方に役立ちます。
1日30分程度のウォーキングでも、全身の血流が良くなり、肌に酸素や栄養が届きやすくなります。
たとえば、エレベーターではなく階段を使う、一駅分だけ歩くといった工夫でも十分です。激しい運動を頑張る必要はなく、「少し息が上がる程度」を無理なく続けることが大切です。こうした習慣が、自律神経を整え、ストレスホルモンを下げることで、結果的にターンオーバーの乱れを防ぎ、シミが濃くなりにくい肌環境につながります。
趣味や休息
趣味や休息の時間は、ホルモンのバランスを整え、結果的に肌にも良い影響を与えます。
好きなことに集中しているとき、体の中ではストレスホルモンが下がり、気分を安定させるホルモンが分泌されます。その状態が続くと、自律神経が整いやすくなり、睡眠の質やターンオーバーのリズムも改善していきます。たとえば、週に数回、好きな音楽を聴きながらお茶を飲む時間を10分つくるだけでも構いません。「何もしないでぼーっとする時間」も立派な休息です。心に少し余裕ができると、表情がやわらぎ、くすみや疲れ顔も和らぎやすくなります。
今あるシミを悪化させないための対処
今あるシミを悪化させないためには、「毎日のスキンケア」と「セルフケアと医療の適切な使い分け」が鍵です。すでにできたシミがストレスで濃くなるのを防ぐには、日常の積み重ねが大切です。
スキンケア

スキンケアでシミを悪化させない最優先事項は、刺激を最小限に抑えることです。
優しい洗顔と保湿が基本になりますが、ゴシゴシこすったり強い成分の化粧品を使い続けたりすると逆効果になる可能性があります。毎日の積み重ねで肌のバリアを守れば、ストレス下でもシミが濃くなりにくくなります。
洗顔やクレンジング
洗顔やクレンジングで摩擦を最小限に抑えると、シミの悪化を防げます。ポイントは「手のひら全体で優しく包むように」洗うことです。
力を入れすぎると肌バリアが傷つき、メラニンが残りやすくなります。たとえば、クレンジングはオイルやジェルを使い、30秒以内で乳化させて流します。洗顔料は泡立てて手のひらに山盛りにし、指の腹で10秒ほど軽く転がすだけです。ゴシゴシは厳禁で、タオルオフも押さえるようにして強く拭かないでください。こうした優しい方法で毎日続けると、肌が落ち着き、ストレス時のシミ濃化を抑えられます。
保湿
保湿は肌のバリアを強くし、炎症や色素沈着を防ぐ基盤になります。
乾燥すると肌が弱くなり、ストレス時の刺激でメラニンが増えやすくなるため、毎日の保湿がシミ対策の土台です。たとえば、化粧水を3〜5回重ねてハンドプレスし、その上からクリームを薄く塗ると、水分が逃げにくくなります。朝晩のルーチンに取り入れるだけで、肌がしっとり整い、外部ダメージから守られます。保湿を怠るとくすみが目立ち、シミが濃くなりやすいので、シンプルに続けるのがコツです。
セルフケアと医療の使い分け
セルフケアで改善が見込める軽いシミと、医療が必要な頑固なシミを正しく使い分けることが大切です。自己判断で長く悩まず、早めに専門家に相談する目安を知れば、後悔のない選択ができます。
生活改善で対応できる目安

生活改善で対応できる目安は、薄いシミや最近のくすみ・一時的な濃化の場合です。たとえば、頰にうっすら茶色い斑点が数週間でできたものや、忙しい時期だけ目立つシミなら、睡眠・食事の見直しで3ヶ月ほど様子を見ましょう。ターンオーバーが整えば自然に薄れやすためです。
逆に、1年以上濃いシミが広がる場合は医療を検討してください。早めの習慣改善で悪化を防げます。
クリニック相談を考えるタイミング

クリニック相談を考えるタイミングは、シミが1cm以上広がった場合や、3ヶ月以上の生活改善で変化がない場合です。
たとえば、頰に濃い茶色い斑が数ヶ月続き、ファンデで隠せないほど目立つなら、早めに専門医へ相談してください。
また、シミは一般皮膚科ではなく美容皮膚科に相談することをおすすめします。
美容皮膚科ならレーザーなど美肌治療に特化した方法が多く、肌やシミの状態に合った対応が可能なためです。
逆に、保険適用の一般皮膚科では、シミを美しく薄くする治療は対象外となります。詳しく知りたい方は以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:シミ取りは皮膚科で保険適用できる?種類別に徹底解説
まずは無料カウンセリングを

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まとめ
ストレスは活性酸素を増やし、メラニン生成を促すことでシミを増やし悪化させます。紫外線対策だけでは防げない睡眠不足や疲労も要因です。ストレス関連のシミは炎症後の茶色い跡や既存シミの濃化が特徴で、ターンオーバー乱れが原因です。
予防には睡眠7〜8時間を確保し、ビタミンB群・C・Eの食事(豚肉・レモン・トマト)、1日30分ウォーキングが効果的です。就寝2時間前スマホオフもおすすめです。今あるシミは優しい洗顔・保湿で守り、3ヶ月変化なしや1cm以上広がったら美容皮膚科へ相談してください。生活改善で薄いものは対応可能です。毎日の習慣で肌を守りましょう。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



