ニキビは寝不足で増える?原因と対策

先日、30代OLの女性の患者さまから「最近残業続きでニキビが増えた気がします」と相談がありました。確かに患者さまがおっしゃるように寝不足はニキビの天敵です。そこで今回は、なぜ睡眠不足がニキビを悪化させるのか、その仕組みから対策まで順を追って解説します。
なぜニキビは寝不足で増えるのか?
寝不足がニキビを増やす一番の原因は、ホルモンバランスと自律神経の乱れです。睡眠不足が続くと成長ホルモンが減少しターンオーバーが滞り、自律神経の交感神経優位で皮脂分泌が増えます。さらに免疫力低下でアクネ菌が繁殖しやすくなり、毛穴づまりから炎症へ進行します。下記より詳しく見ていきましょう。
成長ホルモン低下でターンオーバーが乱れる

寝不足が増えると成長ホルモンが減って肌の生まれ変わりが遅くなり、ニキビが増える原因になります。
寝始めの3時間は深い眠りの時間です。この間に成長ホルモンがたくさん出て、古い角質を自然に落とし、新しい肌を作ります。研究では睡眠5時間未満が続くと、このホルモンが30-50%減ることがわかっています。角質が毛穴にたまり、白ニキビができやすくなります。
参考画像にあるのが、20代の男性の患者さまで残業で4時間睡眠が1週間続き、「おでこがザラザラする」と来院された方の肌診断機器の画像です。
肌診断機器で見てみると、ピンクの点が毛穴詰まりを表すものなのですが、肌の生まれ変わり周期が通常18日から28日に伸び、毛穴詰まりが多くなっていることが確認できました。実際に睡眠を7時間に改善したら改善されている点もこの結果から睡眠が非常に重要なことがわかるかと思います。
自律神経の乱れで皮脂分泌が増える

寝不足だと自律神経が乱れて皮脂が過剰になり、ニキビが増えます。
寝不足が続くと体が「緊張状態」と勘違いし、交感神経が優位になります。
この状態でストレスホルモン(コルチゾール)と男性ホルモン(テストステロン)が上昇し、皮脂腺を直接刺激します。研究では睡眠不足で皮脂分泌が1.5-2倍になることが報告されており、皮脂分泌が増えることで、毛穴に角栓がたまりやすくなり、ニキビが増えてしまいます。
免疫低下でアクネ菌が増殖し炎症が進む

睡眠不足が続くと体の免疫細胞(NK細胞)が30%減少しますが、アクネ菌は誰の肌にも普通にいます。ただ、免疫が弱まるとこの菌が毛穴内で急に増え、白ニキビが赤く腫れて炎症を起こし、治りにくくなります。
参考画像にある黄色の点々はアクネ菌が多い時にできる「ポルフェリン」という物質です。この画像からもわかるように、炎症が強い人の肌ほどアクネ菌が多く、赤ニキビが悪化しやすい状態になっています。
そのニキビは寝不足が原因かを見極める
寝不足由来のニキビは「急な悪化」「皮脂が多い部位で同時多発した」「睡眠改善で改善された」が特徴です。他の原因(食事・生理)とは発症タイミングや経過が異なり、3つのチェックで8割見分けることができます。
寝不足が続いた後に急に悪化していないか

残業や夜更かしが3日以上続いた直後にニキビが増えたら、寝不足の可能性が強いです。
ホルモン変動が急激に起き、皮脂と炎症が連鎖します。チョコ食べ過ぎのように日常原因とは違い、タイミングが明確です。
先日30代の会社員の患者さまは5日睡眠3時間の日が続いた際に翌週10個増えたという方もいらっしゃいました。
皮脂が増えやすい部位に同時多発していないか

Tゾーン・フェイスライン・あごに5個以上一気に出たら、寝不足によるホルモン・自律神経の乱れによる発症が疑われます。
寝不足が続くと交感神経が優位になり、ストレスホルモンと男性ホルモンが急上昇します。皮脂腺が多いTゾーン(おでこ・鼻)やフェイスライン(あご)はホルモンの感受性が高く、その影響により皮脂が2倍近く増えることでニキビが同時に多発するからです。
生活改善で軽くなるかどうか

7時間~8時間の良質な睡眠を3日以上確保することによって赤みや新しいニキビが落ち着く場合、睡眠不足が悪化因子だった可能性は十分考えられます。
睡眠中は成長ホルモンの分泌が高まり、日中に受けたダメージの修復やターンオーバーの調整が行われます。睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、皮脂分泌が増えやすく、炎症も長引きます。逆に睡眠時間を確保し就寝リズムを整えることで、
寝不足ニキビができやすい部位
寝不足が続くと、先ほど説明させていただいたように、皮脂腺の多いTゾーン(おでこ・鼻)・フェイスライン(あご・頬)が悪化しやすい部位です。これらは皮脂分泌やホルモン変動の影響を受けやすい場所であることが関係しています。
また、顔だけでなく背中や胸も注意が必要です。これらの部位も皮脂腺が多く、ホルモンバランスの変化が反映されやすいため、寝不足が続くと炎症性ニキビが現れることがあります。下記より詳しく解説していきます。
Tゾーンとフェイスラインは皮脂が多い

結論から言うと、おでこ・鼻・あごはもともと皮脂分泌が多く、寝不足の影響を受けやすい部位です。
Tゾーンは皮脂腺が集中しているため、少しのストレスや睡眠不足でも皮脂が増え、毛穴づまりが起こりやすくなります。あごやフェイスラインもホルモンの影響を受けやすく、大人ニキビが繰り返しやすい場所です。皮脂が多い状態が続くと炎症が長引き、治ったと思っても同じ場所に再発することがあります。部位の特徴を理解することが、悪化を防ぐ第一歩です。大人ニキビの治し方について詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
背中や胸は汗と寝具環境が影響する

背中や胸は皮脂腺が多く、汗もこもりやすいため、寝不足時に悪化しやすい部位です。
就寝中は長時間同じ姿勢になるため、汗や皮脂が肌にとどまりやすくなります。特にポリエステルなどの化学繊維中心のパジャマは通気性や吸湿性が低く、蒸れやすい傾向があります。逆に綿や麻などの天然素材は汗を吸いやすく、肌への負担が少ないといえます。
また、枕カバーやシーツを1〜2週間以上交換していない場合は、皮脂や汗が蓄積しやすく、毛穴づまりの原因になります。理想は枕カバーは週2〜3回、少なくとも週1回は交換することです。実際に寝具環境を見直しただけで背中の炎症が落ち着いた患者さまもいます。睡眠の「時間」だけでなく「環境」を整えることも重要です。背中ニキビの治し方について詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
忙しくても悪化させない最低限の睡眠対策
長時間眠れない状況でも、睡眠の「質」を高めることでにきびの悪化は防げます。大切なのは完璧を目指すことではなく、肌の回復に必要なポイントを押さえることです下記より詳しい方法について紹介いたします。
入眠後3時間のノンレム睡眠を確保する

最初の3時間をしっかり眠ることが、にきび改善の土台になります。
グラフにあるように、正常な睡眠時間を保っている時も、睡眠不足な状態でも眠り始めの時間帯(ノンレム睡眠)は最も深い睡眠になり、このときに成長ホルモンが多く分泌されます。成長ホルモンは日中に受けた紫外線や摩擦ダメージを修復し、乱れた肌の生まれ変わりを整える働きがあります。ここが削られると、炎症が長引き、赤みが引きにくくなります。実際、夜更かしが続いていた患者さまが就寝時刻を固定しただけで、新しいにきびが出にくくなったケースもあります。まずは連続した深い眠りを守ることが重要です。「3時間しっかり眠る方法について」は
寝る前3時間の行動を見直す

睡眠不足になる行動は控えるようにしましょう。
睡眠前の食事・カフェイン・アルコール・スマートフォンの向き合い方が重要です。
就寝直前の食事は消化にエネルギーを使い、深い眠りを妨げます。そのため食事は3時間前までに摂取するようにしましょう。
また、カフェインは睡眠の6時間まで、アルコールはビールなら350ml缶1本、日本酒なら1合未満程度までにしましょう。
カフェインは数時間作用が続続き、アルコールは寝つきをよくしても眠りを浅くしてしまうので睡眠不足の大敵です。
患者さまで多いのが、スマートフォンやパソコンを就寝前に触ってしまうことです。スマートフォンやパソコンの光は脳を覚醒させます。そのため、睡眠の2時間前より触らないことが重要です。
最後に、睡眠を深くするコツは、入浴は就寝1〜2時間前に済ませ、室温はやや涼しめに整えることです。そうすることで入眠がスムーズになります。忙しくても、この3時間を整えるだけで肌の回復力は大きく変わります。
寝不足によるニキビの治し方
寝不足によるにきびは、睡眠を整えるだけでなく、正しいスキンケアと必要に応じた治療を組み合わせることが大切です。
炎症を放置すると色素沈着や凹みといったにきび跡につながることがあります。生活改善を土台にしつつ、早い段階で適切に対処することが、跡を残さないための基本方針です。
白ニキビ段階で早めに対処する

炎症が起こる前、白ニキビや黒ニキビの段階で抑えることが重要です。
この段階は毛穴が詰まっているだけの状態なので、やさしい洗顔と適度な保湿で整えることが基本になります。1日2回の洗顔を守り、こすらないことが大切です。乾燥を放置すると皮脂が増え、悪化しやすくなります。実際、初期の段階でケアを始めた患者さまは赤ニキビへ進行せずに落ち着くことが多いです。小さな変化のうちに対応する意識が、悪化予防につながります。詳しい白ニキビの治し方については以前投稿した関連記事をご覧ください。
関連記事:白いニキビは何が原因?正しいケア方法・早く治す習慣をまとめて解説
外用薬と皮膚科受診の目安を知る

赤く腫れたり痛みが出たりした場合は、外用薬による治療が必要です。
毛穴づまりを改善するアダパレンや、炎症を抑える過酸化ベンゾイルは基本となる治療薬です。適切に使えば悪化を防ぎやすくなります。
ただし、強い痛みや大きな腫れがある、同じ場所に何度も繰り返す、2週間以上改善しない場合は自己判断を続けるべきではありません。
この段階では、生活習慣の見直しだけでは限界があります。肌質やにきびのタイプに合わせた治療提案ができる美容皮膚科での相談をおすすめします。早期に適切な治療を受けることで、にきび跡を残さずきれいに治す可能性が高まります。詳しくは以前投稿した関連記事をご覧ください。
まとめ
にきびは寝不足によって悪化しやすく、特にTゾーンやフェイスライン、背中など皮脂の多い部位に現れやすい特徴があります。まずは睡眠時間だけでなく、入眠後の深い眠りを確保し、寝る前3時間の行動を整えることが重要です。あわせて白ニキビの段階で早めに対処し、炎症が強い場合は外用薬を適切に使用します。繰り返す、長引く場合は美容皮膚科での専門的な治療を検討することが、跡を残さない近道です。
医師監修情報

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



