ニキビのしこりは治る?粉瘤との違いと悪化させないケア方法

突然、肌の下に硬いしこりのようなニキビができると、「これ大丈夫かな?」と不安になりますよね。実はその正体は、炎症が皮膚の奥まで広がった「しこりニキビ」の可能性があります。しかし、見た目が似ている粉瘤(ふんりゅう)とは原因も対処法も異なります。この記事では、その違いと悪化を防ぐ正しいケア、そして受診の目安を詳しく解説します。
ニキビのしこりは治るの?
しこりニキビは自然には治りにくい症状ですが、適切な治療を行えばしっかり改善することができます。
炎症が皮膚の奥深くまで広がっているため、放置すると赤みや痛みが長引き、跡が残る原因にもなります。まずは、しこりニキビが通常のニキビより治りにくい理由を理解することが、正しい対処の第一歩です。
しこりニキビの特徴と治りにくい理由

しこりニキビが治りにくい一番の理由は、炎症が皮膚の奥深くで起きているためです。
このタイプのニキビは、触ると痛みを感じるほど硬く、表面よりも内側で膿や炎症が広がっています。通常のニキビが肌表面の毛穴詰まりで終わるのに対し、しこりニキビは毛穴の奥で皮脂や炎症がこもり、薬が届きにくく回復まで時間がかかります。 たとえるなら、浅い火傷と違い、皮膚の下まで広がった「内側の炎症」が続いているような状態です。見た目以上に内部で炎症が進むため、放置せず早めのケアが大切です。
しこりニキビの原因
しこりニキビは、毛穴の詰まりに加えて、アクネ菌の増殖やホルモンバランスの乱れなど、複数の要因が重なることで起こります。ここでは、その原因をわかりやすく整理して解説します。
毛穴詰まりと深部炎症

しこりニキビは、先ほど説明させていただいたように、皮膚の奥で強い炎症が続いている状態です。
毛穴が皮脂と角栓で詰まることから始まります。最初は白ニキビと呼ばれる小さな詰まりですが、内部にたまった皮脂を栄養にアクネ菌が増えると、次第に赤く腫れた赤ニキビへと進行します。炎症がさらに毛穴の奥まで広がると、膿が溜まり、硬く痛みを伴うしこりへと変化します。
たとえるなら、表面から見えない場所で火がくすぶり、時間をかけて奥に広がっていくような状態になってしまっています。
生活習慣と刺激

しこりニキビは、生活リズムの乱れや外的刺激によってニキビが悪化して起きます。
睡眠不足やストレスが続くと、ホルモンのバランスが崩れ、皮脂の分泌が増加します。その結果、毛穴が詰まりやすくなり、炎症が深部にまで広がります。また、脂っこい食事や甘いものの摂りすぎも皮脂を増やす原因に。外的要因では、マスクの擦れや枕カバーの汚れなどの「摩擦刺激」が炎症を悪化させることがあります。たとえるなら、すでに火がついている部分にさらに熱を加えるようなもの。肌を清潔に保ち、刺激を減らすことがしこり化を防ぐ第一歩です。
関連記事:痛いニキビはなぜできる?原因と正しい治し方で跡を残さない!
粉瘤との見分け方
しこりニキビと似た症状に粉瘤があります。見た目は似ていますが、治療法が全く異なるため、しっかり見分けることが大切です。粉瘤は「皮膚の下に袋ができて中身がたまるできもの」、しこりニキビは「毛穴で起きた炎症が奥に広がったもの」という点が大きな違いです。以下で、具体的な見分け方のポイントを詳しくお伝えします。
判断するポイント

粉瘤かニキビかを見分けるときは、「黒い点・大きさ・動き・臭い・場所」をチェックします。
粉瘤は数ミリ〜数センチと比較的大きく、中央に黒い点(皮膚の出口)があり、指でつまむと皮膚の下でコロコロ動くことが多いです。強く押すと、どろっとした白〜黄の内容物が出て、独特の臭いを伴うのも特徴です。一方、しこりニキビは数ミリほどで、顔のTゾーンや頬など毛穴の多い場所にでき、赤みと痛みを伴います。黒い点や強い臭いは目立たず、「急に痛いしこりができた」印象が強い場合はニキビの可能性が高くなります。
しこりニキビを悪化させないセルフケア
しこりニキビの悪化を防ぐセルフケアは、日常の生活習慣と基本的なスキンケアを少し見直すだけで十分です。
触らない・こすらないなどの注意を守りながら、炎症を抑えるケアを続けることで、症状の進行を止められます。ここでは、自宅で簡単に実践できる悪化防止のポイントを紹介します。
洗顔と保湿

しこりニキビの悪化を防ぐには、洗顔と保湿を正しく行うことが基本です。
洗いすぎると肌のバリアが壊れ炎症が広がりやすくなるため、朝晩1日2回、32〜34℃のぬるま湯で泡をたっぷり立てて20秒ほどやさしく洗います。指の腹でなでるようにし、ゴシゴシこすらないのがコツです。たとえば、泡で肌を包み込むイメージで汚れを浮かせるように。洗顔後は清潔なタオルで軽く押さえて水分を拭き取り、セラミドやヒアルロン酸入りの油分控えめのジェル保湿剤を薄く塗ります。これで肌を守りながら炎症を抑えられます。
潰す・擦る・厚塗りを避ける

しこりニキビは、潰す・触る・厚塗りメイクを避けることが悪化防止の鉄則です。
これらをすると炎症が皮膚の奥に広がり、赤みや痛みが強くなり、へこんだ跡として残りやすくなります。
たとえば、気になって指で押すと中の膿が周囲に飛び散り、火事の火種が広がるように新たな炎症を引き起こします。メイクも油分の多いファンデを厚く塗ると毛穴が詰まり、治りが遅れます。どうしても隠したい場合は、薄くノンコメドジェニックの下地だけに留めましょう。触らない・擦らないを徹底することで、炎症を最小限に抑えられます。
市販薬で対処できる場合と限界
しこりニキビの初期段階なら市販薬で炎症を抑えられますが、硬く痛むしこりができた場合は効果が限定的です。
市販の抗炎症クリーム(イブプロフェンピコノールなど)は表面の赤みを和らげますが、皮膚の奥まで炎症が広がったしこりには成分が届きにくいためです。たとえば、表面の火を消しても奥でくすぶっている火種が残るような状態。痛みが強い・しこりが1cm以上・2週間以上続く場合は、市販薬だけでは悪化リスクが高く、美容皮膚科での抗生物質やステロイド注射などの専門治療が必要です。
皮膚科での治療
しこりニキビの皮膚科治療には、炎症を抑える即効ケア、粉瘤の確実な除去、跡を残さない美容治療という3つの役割があります。それぞれの症状に合わせた治療で、短期間で改善が期待できます。以下で詳しくお伝えします。
炎症を抑える外用薬と内服薬
しこりニキビの炎症を抑えるには、皮膚科で処方される外用薬と内服薬が効果的です。
外用薬では、ベタメタゾンなどのステロイド軟膏が赤みや腫れを素早く鎮め、クリンダマイシンなどの抗生物質がアクネ菌を抑えます。内服薬のミノサイクリンなどは体の中から炎症をコントロールし、奥のしこりにも届きやすいのが利点です。たとえば、表面だけに薬を塗るより飲み薬を併用すると、火の根元から消火するような効果が得られます。これらを早めに使い分けることで、痛みやしこりが数日で落ち着き、跡のリスクを減らせます。
関連記事:ニキビに抗生物質は効く?種類・効果・安全な使い方を徹底解説
粉瘤の切開治療
粉瘤は自然に治らないため、一般皮膚科での切開治療が必要です。中に溜まった角質や皮脂の袋を完全に取り除かないと再発してしまいます。
治療は局所麻酔をして小さな切開をし、中身を掻き出し袋ごと抜去する流れで、10〜20分程度で終わります。術後はガーゼを貼り、1週間ほど傷口を清潔に保ちます。たとえば、溜まったゴミの入った袋を捨てるように、根こそぎ除去することで再発を防げます。痛みは少なく、日帰りで済むため早めの受診をおすすめします。
美容医療

しこりニキビ跡をきれいに治したい場合は、一般皮膚科ではなく美容医療が必要です。一般皮膚科は炎症を抑えるのが主で、凹みや硬いしこりの見た目改善は対象外のため、市販ケアだけでは限界があります。
美容医療には専門治療が多く、例えばしこりニキビやニキビ跡だけでも下記のような治療があります。
ヒアルロン酸注入:凹んだ跡を即座に埋めることができるため、数ヶ月持続します。
ダーマペン:細かい針で肌を刺激し、コラーゲンを増やして自然に平らにすることができます。
ピコフラクショナルレーザー:熱で古い肌を入れ替え、新しく整えます。たとえば、地面の穴を土で埋めたり削ったりして平らにするイメージです。 など
このような、しこりニキビやニキビ跡にはさまざまな施術法があり、肌の状態に合わせて最適な治療を選べます。セルフケアや一般皮膚科で改善が難しいと感じたら、すぐに美容医療に相談するのがおすすめです。
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繰り返さない予防習慣
しこりニキビを繰り返さないためには、毎日のスキンケアと生活習慣を整えることが大切です。
毛穴の詰まりを防ぎ、炎症の火種を早めに消す習慣を身につけることで、再発リスクを大幅に減らせます。ここでは、長期的に肌を守る具体的な予防策を紹介します。
肌負担の軽減策
しこりニキビを繰り返さないためには、日常の摩擦や乾燥などの肌負担を減らすことが重要です。
マスクの擦れ、髪や衣服が当たる刺激、メイクの洗い残しが毛穴を詰まらせ炎症を招きます。たとえば、長時間マスクをすると湿気で皮脂が増え、毛穴が詰まりやすくなります。対策として、マスクは清潔なものをこまめに交換し、耳ひも部分を緩めて摩擦を減らしましょう。髪は顔にかからないようまとめ、綿素材の柔らかい服を選びます。メイクはノンコメド処方の軽いものにし、夜はダブル洗顔でしっかり落とす。加湿器で室内湿度50〜60%を保ち、乾燥も防げば肌のバリアが強まり、再発しにくくなります。
睡眠・食事・ホルモンバランスの整え方
しこりニキビを防ぐには、睡眠・食事・ストレスを整えることが欠かせません。
睡眠不足が続くとホルモンバランスが崩れ、皮脂が増えて毛穴詰まりの原因に。毎晩7〜8時間、同じ時間に寝起きを固定すると肌の修復が進みます。食事は揚げ物や甘いものを控え、ビタミンB群(レバー、卵、緑黄色野菜)を積極的に。たとえば、夜遅くのスナックをバナナに変えるだけで皮脂コントロールがしやすくなります。ストレスは38℃のぬるめ湯に10分浸かる入浴で緩和。自律神経が整うと炎症が起きにくく、再発予防に直結します。
受診のタイミング

しこりニキビの受診タイミングは、痛みが強い・1cm以上・2週間以上続く場合が目安です。それ以外にも、熱感や腫れが広がる症状があればすぐに皮膚科へ行きましょう。自然治癒を待つと跡が残りやすいため、早期受診が大切です。
すぐに皮膚科へ行くべき危険サイン
しこりニキビで強い痛み・急激な腫れ・膿・悪臭・2週間以上続く場合は、すぐに皮膚科を受診してください。
これらは炎症が深部に広がり、感染症のリスクが高いサインです。たとえば、熱を持って腫れが広がるのは「火事が拡大している」ような状態で、放置すると顔全体に波及したり、深い跡が残ったりします。膿や悪臭がある場合はアクネ菌以外の感染も疑われ、市販薬では対応できません。早めに専門医に見てもらうことで、抗生物質や注射で数日で落ち着かせられ、悪化を防ぐことができます。
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まとめ
しこりニキビは炎症が深部に広がったもので、自然治癒しにくく粉瘤と見分けが重要です。毛穴詰まりや生活習慣が原因となり、早めのセルフケア(洗顔・保湿・刺激回避)と市販薬で悪化を防ぎますが、痛み強い・腫れ広がる場合は皮膚科へ。外用・内服薬で炎症抑制、粉瘤なら切開、跡には美容医療が効果的です。睡眠・食事・摩擦軽減の予防習慣で再発を防ぎましょう。放置せず早期対処が跡を残さない鍵です。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



