
当院には、日々多くの方がシミのお悩みでご相談に来られます。中でも、男女問わず「目元のシミ」に関するご相談が特に多く見られます。今回は、その「目元のシミ」について、原因や種類の違い、自宅でできるケア方法から医療による効果的な治療まで、幅広く解説いたします。
目元のシミができる主な原因を理解する
目元のシミの原因は、主に5つに分けられます。
「紫外線によるダメージ」、「ターンオーバーの乱れ」、「加齢に伴う代謝の低下」、「ホルモンバランスの変化」、そして「摩擦」です。多くの場合、これらの要素が重なり合ってシミが濃く見えることがあります。まずは、ご自身の生活の中でどの要因が関わっているかを意識してみてみましょう。
紫外線ダメージ

紫外線を浴びると、肌の奥にあるメラノサイトが刺激され、メラニンという色素を過剰に作り出します。本来メラニンは紫外線から肌を守るための防御反応ですが、過剰になると排出が追いつかず、シミとして残ってしまいます。
屋外だけでなく、オフィスや車など屋外でなくても窓ガラス越しや曇りの日にも紫外線は降り注ぎます。日常的な日焼け止めやサングラスなどの対策が、目元のシミを防ぐうえで非常に大切です。
ターンオーバーの乱れ

肌は約1か月周期で新しく生まれ変わる「ターンオーバー」という仕組みを持っています。
この働きが乱れると、作られたメラニンが皮膚の外にうまく排出されず、シミとして残ってしまいます。例えば、睡眠不足や不規則な食生活、ストレスが続くと、この代謝リズムが遅れやすくなります。肌の再生を助けるためには、十分な睡眠とバランスのとれた食事が欠かせません。
加齢による代謝低下

年齢を重ねると肌の新陳代謝がゆるやかになり、メラニンを押し出す力が弱まります。
本来なら肌の生まれ変わりで自然に排出されるはずのメラニンが、皮膚の奥にとどまりやすくなってしまいシミとして定着しやすくなってしまいます。特に40代以降は、目元の皮膚が薄く血行も滞りがちになるため、シミが濃く見えやすくなります。疲れが顔に出やすくなるのも、この代謝の低下が影響しています。
関連記事:シミは何歳から?20代・30代・40代・50代シミのなぜを解説
ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの変化は、特に女性に「肝斑」と深く関係しています。
妊娠や出産、更年期のタイミングで女性ホルモンの分泌が変動すると、メラニンを作る細胞が刺激されやすくなり、目元や頬に左右対称のシミが現れることがあります。治療薬に頼る前に、睡眠の質を整え、ストレスを減らすことが大切です。生活リズムを安定させることが、ホルモンバランスを整える第一歩になります。
関連記事:肝斑の原因とは?ホルモンバランス・紫外線・ストレスが関わるメカニズムと対策
摩擦・刺激

日常の中で何気なく行っている摩擦が、目元のシミを悪化させる要因になることがあります。クレンジングや洗顔で強くこすったり、花粉症などで目を頻繁に触れることで、肌の炎症が起こりメラニンが生成されやすくなります。刺激を減らすためには、優しく洗う、柔らかいタオルで押さえるように拭くなどの工夫が大切です。毎日の積み重ねがシミ予防につながります。
【ポイント】
これらの原因に心当たりがある方は、目元のシミが濃くなりやすい傾向があります。そのまま放置すると、時間の経過とともにさらに目立ってしまうこともあります。気になった段階で早めに治療を検討することが大切です。ただし、シミにはいくつかの種類があり、原因や特徴によって治療法が異なります。そのため下記より、代表的なシミの種類について解説します。
目元のシミの種類と特徴を見分けよう
一口に「目元のシミ」といっても、その原因や治療法はさまざまです。
見た目が似ていても、セルフケアで改善しやすいタイプもあれば、医療による治療が効果的なものもあります。正確に見分けることで、無駄なケアを避け、より早く理想の肌に近づくことができます。ここでは代表的なシミの種類と特徴を整理します。
SK(老人性色素斑・日光黒子)

SK(老人性色素斑・日光黒子)は、長年の紫外線ダメージが蓄積して現れる代表的なシミです。初めは薄い茶色でも、少しずつ濃く、輪郭がはっきりしてくるのが特徴です。セルフケアだけで完全に消すことは難しく、医療用レーザー治療での改善効果が高いタイプです。ただし、治療後も再発を防ぐために、日焼け止めや帽子などの日常的な紫外線対策を継続することが大切です。
肝斑(かんぱん)

肝斑は、主に女性ホルモンの影響で生じる左右対称のシミで、頬の高い位置から目元にかけて現れるのが特徴です。
紫外線や摩擦などの刺激で悪化しやすく、特に洗顔やメイク時のこすりは控える必要があります。セルフケアや内服薬である程度薄くなることはありますが、完全に治すには医療的な治療を併用することが重要です。
関連記事:シミと肝斑の違いを徹底解説|原因・見分け方・効果的な治療法と予防のポイント
そばかす(雀卵斑)

そばかす(雀卵斑)は、遺伝的な体質によって現れやすいシミで、思春期ごろから鼻や頬、目元に小さな斑点が目立つようになります。
紫外線を浴びることで濃くなりやすいため、日常的な日焼け止めや帽子などの対策が欠かせません。セルフケアである程度目立たなくすることは可能ですが、より早く効果を実感したい場合は、レーザーなどの医療的治療を組み合わせると効果的です。
関連記事:そばかすとシミの違いを徹底解説|原因・見分け方・効果的な予防と治療法
炎症後色素沈着

炎症後色素沈着は、擦り傷やニキビ、湿疹などの炎症が治った後に残るシミの一種です。
炎症によって過剰に作られたメラニンが肌にとどまり、茶色や灰色の跡として長く残ることがあります。
トラネキサム酸やビタミンCなどの美白成分で少しずつ薄くすることはできますが、完全に消すのは難しく、時間がかかります。色が濃い場合は、医療機器による治療を検討することが有効です。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、肌の深い部分である真皮層にメラニンが沈着することで生じる、アザのようなシミです。薄い青褐色や灰色がかった色調で、目の下や頬骨のあたりに左右対称に出るのが特徴です。表皮ではなく真皮に色素があるため、セルフケアや美白化粧品では改善が難しく、ピコレーザーなどの医療的な治療でのアプローチが必要になります。
【ポイント】
ここまでご紹介したように、シミは種類によって原因も治療法も異なります。中にはセルフケアだけでは改善が難しいものもありますが、日常のケアでシミを薄くしたり、これ以上増やさないように予防したりすることは可能です。そこで、下記より自宅でできるセルフケアのポイントをご紹介します。
セルフケアで目元のシミを予防・改善する方法
セルフケアでは、薄いシミを目立たなくしたり、悪化を防いだりすることが可能です。
大切なのは即効性よりも、毎日続けることです。紫外線対策や十分な保湿、バランスの取れた食事や睡眠など、日々の積み重ねが目元の明るさを守ります。ここでは、自宅で実践できる具体的なケア方法を紹介します。
スキンケア

目元のシミに効果的なスキンケアのポイントは、適切なタイミングと成分選びが鍵となります。
まず、洗顔後は、肌が最も乾燥しやすいため、できるだけ早く化粧水や美容液でたっぷり保湿することが重要です。
次に、ビタミンC誘導体配合の美容液(例:オバジCセラム)やトラネキサム酸を含む美容液(例:トランシーノ薬用ホワイトニングエッセンス)を使用すると、シミ予防や改善に効果的です。朝晩のスキンケア時に欠かさず取り入れることが重要です。
生活習慣の見直し

生活習慣の改善は、肌のターンオーバーを正常化し、シミの予防・改善に欠かせません。特に重要なのは食事・運動・睡眠・ストレス管理です。
食事では抗酸化作用の強いビタミンCやE、ミネラル、タンパク質が重要です。ビタミンCは1日約100mgを目安に、柑橘類やブロッコリー、キウイなどで積極的に摂取しましょう。ビタミンEも若返りのビタミンと言われ、ナッツ類やアボカドで補えます。タンパク質は肌の土台となるため適量(体重×1g程度)の摂取が推奨されます。運動は1日30分程度のウォーキングやストレッチを習慣にし、血流促進と代謝改善を促します。睡眠はターンオーバーを整えるために7時間以上の質の良い睡眠が望ましく、ストレスはホルモンバランスを乱さないために趣味や軽い運動、リラックス法を取り入れることが効果的です。
紫外線対策

紫外線対策には、SPFとPAの使い分けが重要です。
SPFはUVB波(日焼けの原因)の防御力を示し、値が高いほど効果が長時間持続します。PAはUVA波(肌老化の原因)を防ぐ指標で、+の数が多いほど防御力が強くなります。
そのため日焼け止めの徹底が重要です。
日焼け止めは、朝のスキンケア後に適量を顔全体に均一に塗り、外出先では2〜3時間ごとに塗り直すことが推奨されます。おすすめ商品の例としては、「アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク SPF50+ PA++++」や「キュレル UVローション SPF30 PA+++」などがあります。年間を通じて紫外線対策を継続し、窓越しのUVAにも注意しましょう。
関連記事:日焼けが招くシミの原因と予防・改善法|紫外線対策から治療まで徹底解説
洗顔・クレンジング
洗顔・クレンジングは目元のシミ予防において、摩擦を避けることが最も重要です。
まず、泡立てネットなどを使ってたっぷり泡を作り、泡の力で優しく洗うことがポイントです。目元は特に皮膚が薄いので、泡をのせて撫でるように洗い、擦らないようにしましょう。クレンジングではミルクタイプやクリームタイプがおすすめで、メイクと馴染ませる際は指の腹でやさしくなじませることが大切です。洗顔後は綿のタオルで押し拭きし、こすらず水分を吸い取るようにしましょう。
【ポイント】
セルフケアによってシミを薄くしたり症状を改善したりすることは可能です。しかし、セルフケアだけでなく医療ケアを併用することで、より効率的にシミを治療することができます。下記から、目元のシミに効果的な医療施術方法についてご紹介いたします。
ピコスポット

ピコスポットは、ピコレーザーを用いたレーザー治療の一つで、特に濃いシミやピンポイントの色素沈着に効果的です。ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い照射時間でレーザー光を照射し、メラニン色素を衝撃波で粉砕します。このため、周囲組織への熱ダメージが少なく、1回の施術でも高い効果が期待できるのが特徴です。
| 適応のシミ | 老人性色素斑・そばかす・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) |
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ピコトーニング
ピコトーニングもピコレーザーを用いたレーザー治療の一つで、低出力のレーザーを顔全体に照射し、肝斑やくすみを改善する治療法です。
メラニン色素を細かく粉砕しながら、肌への刺激を最小限に抑えるため、ダウンタイムが短く安全性が高いのが特徴です。肌全体のトーンアップや毛穴の引き締め、肌質改善にも効果が期待でき、複数回の施術で透明感のある肌に導きます。
| 適応のシミ | 肝斑・くすみ・そばかす・炎症後色素沈着 |
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ライムライト

ライムライトは、広範囲の薄いシミに対応できる光治療で、メラニンやヘモグロビンに反応する波長(520~1100nmの幅広い光)を用いています。
この光が肌の表皮から真皮まで届き、破壊されたメラニンが自然に剥がれることでシミやそばかすの改善が期待できます。さらに真皮のコラーゲン生成を促進し、肌のハリやキメ、小じわ、毛穴の開きも改善するため、目元の薄いシミやくすみに特に適した治療法です。痛みやダウンタイムも少なく、施術後すぐにメイクが可能な点も魅力です。
| 適応のシミ | 日光性色素斑(老人性色素斑)・そばかす(雀卵斑)・薄いシミ・炎症後色素沈着 |
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まずは無料カウンセリングを

当院は開院19年以来、64,000件以上の肌トラブルに対応してきました。目視だけでなく、最新肌診断機器を活用し、正しくシミの種類をチェックいたします。まずは無料カウンセリングで、あなたの肌に合った最適なプランをご提案させていただきます。
まとめ
目元のシミは、主に紫外線ダメージ、肌のターンオーバーの乱れ、加齢による代謝低下、ホルモンバランスの変化、そして摩擦や刺激が原因で発生します。シミの種類には肝斑、そばかす、老人性色素斑(SK)、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)、炎症後色素沈着などがあり、それぞれ特徴が異なります。セルフケアではスキンケアや生活習慣の見直し、紫外線対策、優しい洗顔・クレンジングを継続することが重要です。医療治療では、ピコスポット、ピコトーニング、ライムライトなど症状やシミの種類に応じた方法が効果的です。原因を特定し適切な治療を行い、予防を続けることで目元のシミ改善が実現します。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



