
当院には毎日、シミのお悩みでご相談にいらっしゃる方が多数おられます。シミ治療ではレーザーなどの医療施術だけでなく、あわせて内服薬を取り入れることで、より高い効果が期待できます。ただ、内服薬には市販のものから医師が処方する薬まで種類が多く、「どれが自分に合うのか分からない」という声も多く聞きます。そこで今回は、シミに有効な内服薬の種類や、市販薬と病院処方薬の違いについて解説いたします。
シミの内服薬で透明感を取り戻す
シミを内側からケアする内服薬は、体の中でメラニンが作られる流れ自体を抑えることで、肌全体のくすみや新たなシミの発生を防ぎます。
外用薬が「できたシミ」に直接働きかけるのに対し、内服薬は全身に作用しやすいのが特徴です。毎日の服用で、透明感のある肌を目指せます。
シミ改善に内服が有効な理由と外用との違い

シミ対策で内服薬が有効な理由は、体内からメラニンの過剰な生成を抑えることができる点です。例えば、トラネキサム酸は過剰な炎症によるメラニン生成をストップする働きがあります。
一方、外用薬は肌の表面で既にできたシミやくすみに直接作用します。例えるなら、内服薬は「根本から予防」(畑の雑草を生えにくくする肥料)、外用薬は「表面の対処」(生えた雑草を抜く手作業)のイメージです。
両方をうまく組み合わせることで、シミの発生予防と今あるシミの改善をバランスよく狙うことができます。
どんな人に向いている?外用で限界を感じた人の選択肢
外用ケアだけでは改善が難しい人、肌質や年齢によってシミがなかなか消えない方にとって、内服薬は効果的な選択肢です。
例えば、加齢や紫外線の影響で肌の奥深くにメラニンが蓄積しやすい人は、内服薬の成分が体内からメラニンの生成を抑えるため、より早く改善が期待できます。また、外用だけでは満足できない場合や、繰り返すシミには内服の併用を検討すると良いでしょう。目安として、肌の奥深くまでメラニンが根付いていると感じたら、内服薬を選ぶタイミングです。
シミタイプに合う内服アプローチ
シミの種類により、効果的な内服薬の成分や飲み方は異なります。
自分のシミの原因を理解して、それに合った内服治療を選ぶことが大切です。適切な選択で、効率よくシミの改善と肌の透明感を目指せます。この後、シミタイプ別の具体的な内服アプローチをご説明します。
肝斑

肝斑はホルモンバランスの乱れが大きな原因で、特に妊娠や更年期、ピルの服用などで女性ホルモンが変動すると発症しやすくなります。肌の炎症や摩擦も悪化の要因です。
治療にはトラネキサム酸が中心で、体内からメラニン生成を抑える効果があります。誤ったケアや強い刺激は悪化につながるため、やさしいスキンケアと紫外線対策も欠かせません。
関連記事:肝斑の原因とは?ホルモンバランス・紫外線・ストレスが関わるメカニズムと対策
老人性色素斑・日焼けジミ

老人性色素斑・日焼けジミは、長年の紫外線ダメージによりメラニンが過剰生成されて肌に蓄積することで起こります。
老人性色素斑・日焼けジミの治療は、ビタミンC・EやL-システインが中心で、メラニンの生成を抑え、肌の抗酸化力を高める働きがあり効果的です。
予防には毎日の紫外線対策が基本で、日焼け止めや帽子、保湿を欠かさないことが重要です。これらの対策がシミの悪化を防ぎます。
関連記事:日焼けが招くシミの原因と予防・改善法|紫外線対策から治療まで徹底解説
炎症後色素沈着やニキビ跡

炎症後色素沈着は、ニキビや虫刺され、やけどなどの肌の炎症により、メラノサイトが刺激されて過剰にメラニンが生成されることで起こります。炎症が治まってもメラニンが肌に残り、茶褐色のシミとして現れます。内服薬には、「トラネキサム酸」「L-システイン」「ビタミンC」「ビタミンE」などの抗酸化作用を持つ成分があり、これらが肌のターンオーバーを促進して色素沈着の改善をサポートします。また、過度な摩擦や刺激を避けて正しいスキンケアと併用することも非常に重要です.
関連記事:シミの種類と見分け方|原因別の特徴・治療法・予防法を徹底解説
成分で選ぶ
| 成分 | 主な効果 | 特徴・補足 |
|---|---|---|
| トラネキサム酸 | メラニン生成抑制、炎症抑制 | 肝斑や炎症後色素沈着に特に有効。炎症を抑えることで色素沈着の進行を防ぐ。 |
| ビタミンC・E | 抗酸化作用、美白、血行促進 | ビタミンCはメラニン生成を抑え、コラーゲン生成も促進。ビタミンEは血流改善により肌の代謝を高める。相乗効果で紫外線ダメージを軽減。 |
| L-システイン | メラニン還元、ターンオーバー促進 | 溜まったメラニンを還元し無色化する。ターンオーバー促進で古い角質と共にメラニン排出を助ける。長期服用で透明感を育てる。 |
成分でシミ改善を選ぶ際は、それぞれの代表的な成分の働きや特徴、併用時の効果を理解することが大切です。
例えば、トラネキサム酸はメラニン生成を抑え、炎症を鎮める作用があり、特に肝斑や炎症後色素沈着に有効です。その他の成分も役割や効果が異なるため、自分のシミタイプや肌状態に合った成分を選び、組み合わせることで効果を高めることができます。具体的な成分ごとの説明はこの後に詳しくご案内します。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は、肝斑改善の第一選択薬として知られています。
この成分は、炎症を引き起こす酵素「プラスミン」の働きを抑制し、メラノサイトが活性化してメラニンを過剰に作るのを防ぎます。結果として、肝斑をはじめシミの色素沈着を薄くする効果が期待できます。さらに、炎症を抑える抗炎症作用もあり、肌のトラブルを根本から改善します。内服によって体の内側から作用するため、肝斑のようなレーザー治療が難しいシミにも有効です。
関連記事:シミ改善に効果的?トラネキサム酸の働き・副作用・正しい使い方を徹底解説
ビタミンC・E
ビタミンCとEは、お互いの抗酸化作用を高め合う相乗効果があり、肌のくすみやシミ改善に効果的です。
ビタミンEは血流促進や肌のターンオーバー促進をサポートし、紫外線ダメージを軽減します。一方、ビタミンCは抗酸化作用を復活し、肌の透明感や明るさを向上させます。併用することで、日焼けによるシミや肌のくすみの予防と改善により効果的です。
L-システイン
L-システインはメラニン生成の際に必要な酵素「チロシナーゼ」の働きを抑え、メラニンの過剰生成を防ぎます。
また、既にできてしまったメラニンを還元して無色化する作用もあり、シミを薄くする効果が期待できます。さらに、肌のターンオーバーを促進して古い角質とともにメラニンを排出することで、長期的に透明感のある肌を育てます。抗酸化作用も持ち、肌の老化予防にも役立つ成分です。
市販薬と処方薬の違い

市販薬と処方薬の違いは、効果・コスト・安全性の面で大きく異なります。
市販薬は安全性が高く、比較的穏やかな効果の薬が多いため手軽に使えますが、成分濃度や配合量は控えめです。一方、処方薬は医師の診断に基づき、より高い効果を狙った成分と配合量で処方され、安全性も医療的に管理されています。コストや通院の手間を考慮しながら、それぞれのメリットを踏まえた選択が重要です。具体的な内容はこの後説明いたします。
成分濃度・配合量の差
| 成分 | 市販薬の配合量・濃度 | 処方薬の配合量・濃度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| トラネキサム酸 | 250〜500mg/日程度(低〜中濃度) | 750〜1500mg/日程度(高濃度) | 処方薬はより高用量で効果的 |
| ビタミンC | 100〜500mg/日程度 | 500〜1000mg/日程度 | 市販品は補助的成分として配合されることも多い |
| ビタミンE | 10〜30mg/日程度 | 100〜200mg/日程度 | 血流促進効果を狙う高用量処方薬もあり |
| L-システイン | 100〜300mg/日程度 | 300〜600mg/日程度 | 長期服用を前提とした処方が多い |
市販薬と処方薬は成分濃度や配合量に明確な違いがあります。
市販薬は安全性を最優先に設計されており、成分濃度は低めで複数成分をバランスよく配合することで効果を補います。
一方、処方薬は医師の診断に基づき、より高濃度の有効成分が配合されているため、短期間で効果が出やすい特徴があります。
効果を重視する場合は処方薬、手軽さを求める場合は市販薬が適しています。
効果を引き出す服用方法
内服薬の効果を最大限に引き出すためには、1日の摂取回数、飲むタイミング、服用期間を守ることが重要です。
一般的に、薬は食後30分以内に水で飲むことが推奨され、胃への負担を軽減し吸収を高めます。摂取回数は医師の指示に従い、用量を守ることが大切です。
服用期間は最低2~3ヶ月継続が基本で、体内で成分の効果が十分に発揮されるまで飲み続ける必要があります。また、飲み忘れた際の対処も重要で、次回の服用時間に注意することが副作用回避につながります
安全に続けるための注意点と副作用対策
内服薬を長期間安全に続けるためには、副作用や禁止事項を理解し、必ず医師と相談することが重要です。
自己判断での服用中断や増減は避け、適切な管理が必要です。
よくある副作用と回避法
内服薬によるよくある副作用には、胃の不快感や吐き気、月経異常などがあります。
胃の不快感は空腹時の服用を避け、食後に水でしっかり飲むと軽減されます。吐き気や胃痛が強い場合は、胃薬の併用や主治医に相談しましょう。月経異常が出た際も医師に報告し、必要に応じて調整を行います。副作用を防ぐには用法・用量を守り、自己判断で中断せず、定期的に医師の診察を受けることが重要です。
相互作用・禁忌の確認
内服薬の相互作用や禁忌事項については、他の薬との飲み合わせや持病の有無が重要なポイントです。
たとえば、同じ作用を持つ薬の重複服用や、肝臓や腎臓に負担をかける薬の併用は、副作用や効果減弱のリスクがあります。また、サプリメントや健康食品との飲み合わせにも注意が必要です。服用前には現在の薬歴や持病を医師に正確に伝え、必ず相談してから始めることが安全な使用につながります。
サプリとの併用時の注意点
内服薬と同じ成分を含むサプリメントを併用すると、成分の過剰摂取による健康被害のリスクがあります。
とくに脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)は体内に蓄積されやすく、過剰摂取で吐き気や頭痛、肝機能障害を招く恐れがあります。水溶性ビタミンも大量摂取は胃腸障害や腎結石のリスクがあり注意が必要です。安全に使うには、飲んでいる薬やサプリの成分を医師に伝え、重複摂取がないか必ず確認しましょう。
外用・美容医療との併用で相乗効果を高める
内服薬と外用薬、美容医療を組み合わせることで、シミ改善効果を大幅に高めることができます。
内服薬は体内からメラニンの生成や炎症を抑制し、外用薬は直接肌に作用してメラニン合成を抑え、肌のターンオーバーを促進します。さらに、レーザー治療や点滴療法などの美容医療を併用すると、即効性と持続性の両方が期待でき、総合的な美白効果が強まります。この多角的アプローチにより、より早く安定した肌の改善が可能です。
外用薬との組み合わせ

内服薬と外用薬、美容医療を組み合わせることで、シミ改善効果を大幅に高めることができます。
内服薬は体内からメラニンの生成や炎症を抑制し、外用薬は直接肌に作用してメラニン合成を抑え、肌のターンオーバーを促進します。
レーザー・光治療との併用

レーザー・光治療の前後で内服薬を併用することで、炎症を抑え色素沈着のリスクを軽減できます。
内服薬はメラニン生成抑制や抗酸化作用によりレーザーによる刺激性悪化を防ぎ、治療効果の向上と持続をサポートします。
即効性と持続性の両方が期待でき、総合的な美白効果が強まります。この多角的アプローチにより、より早く安定した肌の改善が可能です。
関連記事:シミ取りレーザーの種類を徹底解説|効果・料金・ダウンタイム比較
まずは無料カウンセリングを

当院は開院19年以来、64,000件以上の肌トラブルに対応してきました。目視だけでなく、最新肌診断機器を活用し、正しくシミの種類をチェックいたします。「なるべく安く抑えたい」「早く治したい」など目的に合わせて最適な治療プランをご提案いたします。まずは無料カウンセリングまでお越しください。
生活習慣の見直し

内服治療の効果を持続させるためには、適切な生活習慣の見直しが不可欠です。
具体的には、紫外線対策を徹底すること、肌への摩擦や乾燥を防ぐ習慣を身につけること、良質な睡眠やバランスの良い栄養摂取、ストレス管理を行うことが挙げられます。これらの生活習慣の改善は、内服薬の効果を高めるだけでなく、色素沈着の再発防止にもつながります。
紫外線対策を徹底
紫外線を防ぐには、日焼け止めや帽子、日傘などの物理的防御がとても重要です。
紫外線を浴びると、肌の基底層にあるメラノサイトが刺激されてメラニン色素が過剰に生成されます。これは肌を紫外線から守る防御反応ですが、同時にメラニンが表皮に蓄積してシミとして現れます。繰り返し紫外線を浴びることでメラニンの排出が追いつかず、シミが濃く増える原因となります。
摩擦・乾燥を防ぐ習慣づくり
肌への摩擦はシミや色素沈着の大きな原因となります。
洗顔でゴシゴシこすったり、ナイロンタオルやボディブラシの過度な使用、締め付けの強い衣類やマスクの刺激が肌に負担をかけ、メラノサイトを活性化してメラニンの過剰生成を招きます。これにより、摩擦黒皮症や肝斑などの色素沈着が悪化します。予防には、優しい洗顔方法と綿など肌にやさしい素材の衣類選び、十分な保湿で乾燥を防ぐことが重要です。
睡眠・栄養・ストレス管理
睡眠不足は肌の再生を妨げ、バリア機能低下や乾燥を招きます。
例えば、4時間の睡眠を数日続けると肌の水分量が7%減少し、ハリも低下します。成長ホルモンは入眠後3時間に多く分泌され、細胞修復やコラーゲン生成を促進します。
質の良い睡眠(7時間以上)と栄養バランスの取れた食事で、肌のターンオーバーが正常化し透明感を保ちます。ストレス管理もコルチゾールの増加を抑え、美肌維持に役立ちます。
まずは無料カウンセリングを

当院は開院19年以来、64,000件以上の肌トラブルに対応してきました。当院ではただ薬を処方するだけでなく、お肌の症状に合わせた適切なアフターケア方法などもご提案いたします。
まずは無料カウンセリングまでお越しください。
まとめ
シミ改善にはまずシミの種類を理解し、それに合った内服成分と適切な服用方法を選ぶことが重要です。
肝斑や老人性色素斑、炎症後色素沈着など、症状に応じてトラネキサム酸やビタミンC・E、L-システインなどの成分が効果的です。市販薬と処方薬は成分濃度や配合量が異なり、効果や安全性にも差があります。内服薬だけでなく外用薬や美容医療との併用や生活習慣の見直しも欠かせません。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医



