先日のカウンセリングで、シミ取りをご希望の患者さまから「何回治療すればきれいになりますか？」とご質問をいただきました。
実際には、シミの種類や深さ、色によって最適な治療法が異なるため、診察なしで回数を断言するのは難しいのが現実ですが、シミによっては1回の治療で十分な効果を得られることもあります。
また、的確な診断・適切な治療法の選択・医師の技術により、必要な回数を最小限に抑えることが可能です。この記事では、シミ取り治療に必要な回数と効果について詳しく解説します。

シミ取りは何回で効果が出る？まず理解しておくべき基本

「1回で取れる」とは限らない理由と回数の目安

「1回で取れる」と聞くと、すべてのシミがすぐに消える印象を持たれがちですが、実際にはシミの種類や状態によって必要な治療回数は大きく異なります。
浅いシミの場合は1回の治療で十分目立たなくなることもありますが、色素沈着が強い場合や肌が敏感な方では、2〜5回程度治療を重ねることが一般的です。効率的に治療を行うためには、シミの種類や肌の状態に合わせて、施術方法や照射強度、治療間隔を適切に調整することが大切です。こうした調整により、リスクを抑えつつ効果的な改善が期待できます。

シミの種類・濃さ・深さで回数が変わる仕組み

回数よりも間隔と肌回復リズムを重視すべき理由

シミ治療では、回数だけでなく施術の「間隔」と「肌の回復リズム」を守ることが非常に重要です。
治療後の肌は一時的に刺激を受け、メラニン代謝や再生が進む期間が必要です。このリズムを待たずに短期間で連続照射を行うと、炎症や色素沈着などのリスクが高まります。十分な間隔を空けることで、肌がしっかりと回復し、次の施術でより良い反応が得られるようになります。
焦らず適切なサイクルで進めることが、確実な効果につながります。

シミ取りの回数はシミの種類で変わる

先ほどより説明させていただいたように、シミ取りの治療回数は、シミの種類によって大きく異なります。
例えば、老人性色素斑やそばかすは比較的少ない回数で改善しやすい一方、肝斑や真皮性のシミは複数回治療が必要になる場合が多いです。ここからは、代表的な3種類と真皮性シミの治療方針について詳しくご紹介します。

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老人性色素斑・そばかす・肝斑の特徴と必要な回数

一見似て見える老人性色素斑・そばかす・肝斑ですが、それぞれ原因や反応の仕方が異なります。
そのため治療回数が異なります。治療回数の一般的な目安を下記にまとめてみました。

老人性色素斑	1〜2回で効果が期待
そばかす	3〜5回で効果が期待
肝斑	1〜2回で効果が期待
ADM	3〜7回以上

レーザーに反応しやすい老人性色素斑は、比較的少ない回数で改善が期待できます。
一方、そばかすや肝斑はレーザーの反応が穏やかなため、複数回の照射やレーザー以外の治療を組み合わせて少しずつ薄くしていくのが一般的です。各シミの種類の詳しい内容については、この後ご紹介いたします。
（あくまで一般的な目安であり、肌の状態やシミの特徴によって個人差がありますのでご了承ください。）

老人性色素斑は少回数でも再発防止ケアが重要

老人性色素斑（いわゆる日光性シミ）は、レーザー治療に反応しやすく、1〜2回でも目立たなくなることが多いシミです。
しかし、紫外線などの刺激で再発するリスクが高く、治療後のケアがとても重要です。再発を防ぐためには、日焼け止めを毎日欠かさず使用し、帽子や日傘で紫外線を防ぐことが基本となります。また、肌のバリア機能を保つために十分な保湿を心がけることも大切です。治療と日常ケアを併用することで、より長くきれいな肌を維持できます。

関連記事：日焼けが招くシミの原因と予防・改善法｜紫外線対策から治療まで徹底解説

そばかすは広範囲照射が必要で3〜5回が目安

そばかすは顔全体に細かく分布するため、一般的なスポット照射型レーザーでは反応しにくく、広範囲に均一な光を当てられるライムライトなどの光治療が効果的です。
ライムライトは全顔照射が可能で、肌全体のトーンを整えながらそばかすを徐々に薄くしていきます。ただし、一度で消えるものではなく、3〜5回程度の治療を重ねることで自然に明るい肌へ近づけるのが理想です。

関連記事：ライムライトとは？

肝斑は刺激を避けながら段階的に改善する

肝斑は刺激により悪化しやすいため、ほかのシミとは異なる慎重な治療が必要です。
高出力のレーザーでは逆に炎症を起こすことがあるため、ピコレーザーなどに搭載される低出力のレーザートーニングモードで、刺激を抑えながら少しずつ薄くしていくのが基本です。さらに、トラネキサム酸などの内服薬や、マッサージピールを併用することで、肝斑の治療効果を高めることができます。肌への負担を最小限に、段階的な改善を目指すことが重要です。

真皮性シミ（ADM・太田母斑様）は3〜7回以上必要なケースも

深い層にあるため複数回治療と長期的ケアが必要

真皮性シミは肌の深い層にメラニンが存在するため、治療を繰り返し受けても徐々にしか薄くなりません。
レーザー後は、肌内部で色素が分解され、時間をかけて自然に排出されていきます。そのため、1回の施術ごとに充分な間隔を置き、じっくりと経過を見守ることが大切です。また、治療後は炎症後色素沈着や再発を防ぐため、紫外線対策や保湿を徹底するなど、アフターケアを継続することが効果を高める鍵になります。

使用する機器によっても回数は異なる

治療回数に差が生まれる理由のひとつが、使用する機器の違いです。
同じ「シミ取り治療」でも、機器によってアプローチの方法や得られる効果が異なるからです。それぞれの特徴や選び方については、この後詳しくご紹介します。

ピコレーザー・Qスイッチ・IPLの特徴と使い分け

シミ取り治療で使用される代表的な3つの機器は、それぞれ照射の仕組みや得意とするシミのタイプが異なります。中でもピコレーザーは最新技術を搭載しており、肌への負担を抑えつつ高い精度でメラニンを破壊できるため、総合的に優れた治療効果が期待できます。

機器名	特徴	向いているシミ・肌質	注意点
ピコレーザー	超短時間のパルスでメラニンを微細に粉砕。肌へのダメージを最小限にし、ダウンタイムも短い。	ADM・そばかす・薄いシミ・色むらなど幅広く対応。敏感肌にも適応可能。	最新機器のため、導入クリニックが限られる場合がある。
Qスイッチレーザー	高出力でメラニンをピンポイントに破壊。長年使われる信頼性のある治療法。	老人性色素斑・濃いシミ。部分的な治療に適している。	照射後に一時的な炎症やかさぶたができる場合がある。
IPL（光治療）	顔全体をやさしく照射し、トーンアップやくすみ改善にも効果的。	そばかすや軽いくすみ、肌全体のメンテナンスにおすすめ。	深いシミには反応が弱く、複数回の施術が必要になる。

ピコレーザーは微細破砕で短期間の効果を狙える

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Qスイッチは1回で反応するが炎症後色素沈着に注意

Qスイッチレーザーは、高出力のエネルギーでメラニンを瞬時に破壊し、濃いシミにも1回の照射で反応が見られることが多い治療機器です。
ただし、強いエネルギーを一点に集中させるため、肌への負担が大きく、炎症後色素沈着などの副作用が起こるリスクがあります。照射後は一時的に赤みやかさぶたが生じることもあるため、ダウンタイム中のUVケアと保湿管理が重要です。治療効果を安定させるには、医師が肌の反応を見ながら出力を慎重に調整することが欠かせません。

ライムライトは複数回で肌全体を明るくする

IPL（フォトフェイシャル）は、広範囲にマイルドな光を照射して、シミやそばかす、くすみを徐々に薄くしながら肌全体のトーンを明るく整える治療です。強い刺激を与えずにメラニンへ穏やかに反応するため、ダウンタイムがほとんどなく、肌質改善やハリ感の向上など総合的な若返り効果も期待できます。個々の肌状態によって異なりますが、3〜6回程度を目安に定期的に続けることで、透明感のある明るい肌へ導くことができます。

シミ取り回数を左右する3つの条件

シミ取り治療の回数を左右する主な要因は、肌質・施術部位・季節の3つです。これらの条件によって肌の反応や回復スピードが異なるため、効果的な治療スケジュールの立て方も変わります。詳細は次で詳しくご紹介します。

肌質・部位・季節による違いを理解する

シミ取り治療の効果は、肌質・部位・季節によって変わります。これらの条件が、レーザーの反応の出方や色素沈着の起こりやすさに関係しているためです。
たとえば、肌が敏感な人や紫外線が多い夏の季節は、出力を弱めたり治療間隔を長めにしたりと、調整が必要になるため回数がどうしても必要になってしまいます。つまり、効果をしっかり出しながら肌を守るためには、治療する季節や一人ひとりの肌の状態に合わせた治療計画を立てることが大切です。

敏感肌や色黒肌は出力調整と間隔管理がポイント

敏感肌や色黒肌の方はメラニン量が多く、レーザー照射に対する反応が強く出やすいため、一般的な肌質の方よりも慎重な出力設定や間隔管理が求められます。
高出力で照射すると炎症や色素沈着を起こすリスクが高まるため、出力を下げ、肌の負担を抑えながら徐々に色素を分解していくのがポイントです。また、治療の間隔も重要で、肌がしっかり回復するまで数週間～1か月以上あけることで、トラブルを防ぎつつ確実な改善を目指せます。肌質に合わせた調整が、安全で美しい仕上がりの鍵となります。

■ポイント
シミ取りは紫外線が最も少ない冬の季節11月～2月がおすすめです

顔・手・首は紫外線負荷や摩擦で反応が変わる

顔・手・首といった部位は、日常的に受ける紫外線量や摩擦の影響が異なるため、シミの進行度や治療への反応にも差が出ます。
特に顔はターンオーバーが早く反応も良好ですが、手や首は紫外線ダメージや乾燥の影響で回復が遅く、治療回数が多くなる傾向があります。以下は部位別のおおよその治療回数の目安です。

部位	特徴	治療回数の目安
顔	ターンオーバーが早く反応が出やすい	2〜4回程度
手	紫外線ダメージが強く色素沈着しやすい	4〜6回程度
首	皮膚が薄く摩擦を受けやすい	3〜5回程度

部位ごとの特性を理解し、回数や間隔を調整しながら進めることが大切です。

照射間隔とダウンタイム管理で結果が変わる

シミ治療では、肌の回復を待つための適切な照射間隔が非常に重要です。レーザー照射後の肌はダメージを受けているため、十分な回復期間を置かずに次の治療を行うと、過剰な炎症や色素沈着、さらには肌トラブルを引き起こすリスクが高まります。逆に間隔をあけすぎると、せっかく薄くなったシミが再発しやすくなるため、効果が出にくくなります。

適切な間隔（4〜8週）と年間通院回数の目安

シミ取り治療の標準的な照射間隔は4〜8週間程度が目安で、肌の回復状態に応じて柔軟に調整することが重要です。
この間隔を守ることで肌の炎症や色素沈着を防ぎつつ、次の施術で効果を最大限に引き出せます。
年間の通院回数はおよそ5〜10回が多く、治療開始時は回数を多めに集中して行い、その後はメンテナンスとして間隔を開けて継続することが多いです。肌の状態や生活環境によって最適なペースは異なるため、医師と相談しながら計画を立てることが効果的です。

治癒過程を待たずに照射すると色素沈着のリスク

照射間隔を十分に空けずに短期間で繰り返しレーザー治療を行うと、肌が治癒過程を完了できず炎症が長引くことで色素沈着のリスクが高まります。
これは、炎症によってメラノサイトが活性化し、過剰なメラニン生成が起こるためで、いわゆる「炎症後色素沈着」と呼ばれます。トラブルを防ぐには、肌の回復を待ち適切な間隔を守ることが不可欠です。また施術後は、強い紫外線や摩擦を避け、保湿ケアを丁寧に行い肌のバリア機能をサポートすることが重要です。

経過観察をしながら再照射タイミングを見極める

レーザー治療後は赤みやかさぶたの回復状態をよく観察し、十分に治癒が進んだかを見極めてから再照射の判断をします。
照射直後は肌が炎症状態にあり、赤みやヒリヒリ感が現れますが、通常は数日〜1週間で改善し、かさぶたは自然に剥がれ落ちます。この過程を無理に早めることは避け、赤みやかさぶたが完全に回復した頃合いで次の施術を行うのが安全です。早すぎる再照射は炎症を悪化させ色素沈着を招くこともあるため、経過観察を重視して医師の指示に従うことが重要です。経過の不安は早めに相談することも大切です。

副作用を防ぐためのアフターケアとホームケア

シミ取り治療後の効果を維持し、副作用やトラブルを防ぐためにはアフターケアとホームケアが欠かせません。治療直後の肌は非常にデリケートでバリア機能が低下しているため、強い刺激や摩擦を避け、保護テープや適切な外用薬で肌を守ることが重要です。また、十分な保湿や入念な紫外線対策も必要で、これらのケアが色素沈着やシミの再発を防ぐカギとなります。具体的な方法は下記で詳しく解説します。

日焼け止め・保湿・摩擦回避の3本柱を徹底する

シミの再発を防ぐためには、紫外線、乾燥、摩擦という3つの刺激をしっかり防ぐことが重要です。
紫外線はメラノサイトを活性化し、新たな色素沈着や炎症後色素沈着の原因になります。乾燥は肌のバリア機能を低下させ、刺激に弱い状態を作るため、しっかり保湿して肌の潤いを保つことが必要です。また、摩擦は炎症を悪化させ、シミや色素沈着の再発を促すため、洗顔やスキンケア時は優しく扱うことが大切です。これらの3本柱を徹底することで、治療効果を安定させ、シミの再発防止につなげられます。

関連記事：シミ取りレーザーのダウンタイム期間と症状・過ごし方完全ガイド

炎症後色素沈着（PIH）や白斑の予防法

炎症後色素沈着（PIH）や白斑を防ぐには、過剰な照射や摩擦を避けることが重要です。
具体的には、施術後は刺激を極力控え、紫外線対策を徹底します。日焼け止めはSPF50+ PA++++を使用し、帽子や日傘を併用すると効果的です。
また、肌のバリアを保つために、刺激の少ない保湿剤を使い、摩擦を避けて優しく扱うことも重要です。これらのケアを徹底することで、炎症やメラニン過剰生成を抑え、色素異常のリスクを最小限に抑えることができます。

美白外用剤やトラネキサム酸の併用で回数を減らす

美白外用剤やトラネキサム酸を内服・外用で併用することで、シミ治療の効果を高め、施術回数を減らすことが可能です。
トラネキサム酸はメラニン生成を抑制し、炎症を軽減する作用があるため、シミの予防や改善に効果的です。特に肝斑や炎症後色素沈着に対して有効で、ビタミンC誘導体などの美白成分との併用で相乗効果が期待されます。レーザー治療と組み合わせることで、肌の負担を抑えながら効率よく美白を促進し、再発のリスクも減らせます。

まとめ：何回で終わるかより“最適な回数”を見極めよう

シミ治療において、回数だけにとらわれず「最適な回数」を見極めることが重要です。肌質や生活習慣、紫外線の浴び方など個々の条件によって治療効果の現れ方や回復速度は異なり、一律の回数では効果が最大化できません。医師の的確な診断を基に、施術内容や照射間隔、ホームケアを連携させた治療計画を立てることで、肌への負担を抑えつつ持続的な改善が可能となります。診断・施術・ケアの3要素が連動することで、シミの再発リスクを減らし、美しい肌を長く保つことが目指せるのです。この総合的なアプローチこそが、満足度の高い結果に繋がります。

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