
鏡を見るたびに気になる薄茶色の影——それが「シミ」なのか「肝斑」なのか、気になったことはありませんか?
どちらも顔に現れる色素沈着ですが、その原因も治療法も大きく異なります。間違った自己判断でケアを進めてしまうと、かえって悪化させてしまうことさえあります。
そこで、本ページでは、シミと肝斑の違いを整理し、それぞれに適した治療と予防のポイントを解説します。正しい理解があれば、より安全で効果的に肌の悩みを改善することが可能です。
シミと肝斑の基本知識|まずは違いを正しく理解することが大切
シミと肝斑は一見似ていますが、原因や治療法は異なります。知識不足のまま自己判断でケアすると、改善どころか悪化を招くこともあります。
まず、理解を深めていただくために、シミと肝斑の原因の違いについて解説いたします。
一般的なシミの定義と発生メカニズム

シミの中でも代表的なのが「日光性黒子」と呼ばれるタイプです。
長年にわたり紫外線を浴び続けることで皮膚内にメラニン色素が蓄積し、年齢とともに目立つようになります。特に顔や手の甲など日常的に紫外線を受けやすい部位に多く現れ、30代以降から徐々に増加する傾向があります。これがいわゆる一般的なシミの典型的な発症パターンです。
紫外線とターンオーバーの関係

紫外線を浴びると肌は防御のためにメラニンを生成します。本来、増えたメラニンはターンオーバーによって角質とともに排出される仕組みです。
ところが紫外線を繰り返し浴び続けるとメラニン産生が過剰になり、排出が追いつかず肌内部に残存します。その蓄積が色素沈着となり、やがてシミとして目に見える形で現れてしまいます。
加齢によるメラニン排出機能の低下
年齢を重ねると肌の代謝であるターンオーバーの周期が徐々に遅くなります。
その結果、本来は自然に排出されるはずのメラニンが肌内部に滞留しやすくなり、色素沈着として残るようになります。これが加齢とともにシミが増え、濃く見える大きな要因です。
肝斑の特徴と主な原因

肝斑は30〜50代の女性に多く見られ、両頬に左右対称で広がるのが特徴です。シミに比べて輪郭がはっきりせず、もやっとした影のように見えるのもポイントです。発症には加齢だけでなく、ホルモンの変化や日常生活の影響も関わっていると考えられています。詳しい内容について解説いたします。
女性ホルモンの乱れによる影響

肝斑の発症や悪化には女性ホルモンの変動が深く関わっています。
特に妊娠期や更年期、さらに経口避妊薬(ピル)の使用によってホルモンバランスが大きく変化すると、メラニン産生が促されやすくなり、肝斑が出現・進行することがあります。
そのため女性特有のライフステージと症状の関連性は無視できません。
ストレスや生活習慣が及ぼす悪化要因
肝斑はストレスや不規則な生活によって悪化しやすいことが分かっています。
強い精神的負担はホルモンや自律神経の乱れを招き、症状を進行させる一因となります。
また、洗顔や化粧による過度な摩擦、さらには睡眠不足も肌の回復力を低下させ、色素沈着を助長します。日常習慣の改善は治療と同じくらい重要です。
シミ・肝斑・そばかすの見分け方|部位・形・色の違いをチェック
シミ・肝斑またそばかすの見分け方の基本的なポイントを下記にまとめてみました。
項目 | シミ | 肝斑 | そばかす |
---|---|---|---|
部位 | 顔や手の甲など紫外線にさらされやすい部位 | 両頬、額、口の周りなど左右対称の部位 | 鼻・両頬を中心とした顔全体 |
形 | 比較的丸い形、境界ははっきりしている | 輪郭が曖昧でもやっとした形 | 小さく丸い斑点 |
色 | 薄茶色〜濃い茶色まで様々 | 薄い茶色調 | 薄い茶色調 |
発症時期 | 30代以降 | 30〜50代女性に多い | 幼少期から現れ、思春期に濃くなる傾向 |
左右対称に現れるのは肝斑の可能性大

肝斑は、基本的に顔の両頬や額に左右対称に現れることが多く、これが一番わかりやすい見分け方です。
ただし、ごくまれに左右で大きさや範囲が違ったり、完全に対称でない場合もあります。そのため左右対称でなくても肝斑の可能性は否定できません。
個人では見分け方も難しいため、一番は皮膚科など専門医の診察を受けることをおすすめします。
輪郭がはっきりした楕円形は一般的なシミ

一般的なシミは、輪郭がはっきりした楕円形や円形で現れます。
色は薄い茶色から濃い茶褐色まで様々で、主に紫外線の当たりやすい顔や手の甲にできます。肝斑のようにぼやけた形ではなく、単発で左右非対称に出るのが特徴です。大きさも数ミリから数センチまで幅があります。
細かな斑点が鼻周辺に広がるそばかす

そばかすは、細かな斑点が鼻や頬周辺に散らばっているのが特徴です。
遺伝的要因が強く、幼少期から現れやすいのが特徴です。季節によって色の濃さが変わり、夏に濃く冬に薄くなる傾向があります。
肝斑とシミの治療法はなぜ異なるのか

シミと肝斑で治療法が異なるのは、色素ができる皮膚の深さが違うからです。
例えば、多くの方がシミ取り治療と言うと「レーザー治療」を思い浮かべますが、肝斑は肌の深い部分(真皮)にまで色素が定着しており、刺激に敏感なため、強いレーザーを使用すると炎症が起きて悪化しやすいです。そのため、肝斑には深い層までしっかり届く治療が必要です。
一方、シミは表皮の浅い部分にできているため、強いレーザーでメラニンを直接破壊する治療が効果的です。
肝斑に有効的な治療
肝斑は、先ほど説明したように皮膚の深い層(真皮)までしっかりアプローチできる治療が必要です。
下記は、そのためにおすすめの治療法をまとめました。
ピコフラクショナル

ピコフラクショナル(ピコレーザー)は肝斑に効果的な治療法で、真皮層までしっかりアプローチできるのが大きな特徴です。
特殊なレーザーを点状に照射し、表皮に水泡を作り出すと同時に、真皮の線維芽細胞を刺激してコラーゲンやエラスチンの生成を促進。これにより色素沈着の改善だけでなく、肌のハリやにきび跡の修復も期待できます。痛みやダウンタイムが少なく、アメリカFDAにもシミ・肝斑治療として認可されている安全性の高い治療です。
ケアシス

ケアシスは、真皮層まで有効成分を浸透させる数少ない治療法の一つです。
特殊な電気パルスで肌の細胞膜に一時的な穴を開け、高分子の美容成分を深く届けます。特に肝斑に効果的なトラネキサム酸やビタミンC誘導体を肌の奥まで直接浸透させるため、色素沈着の改善が期待できます。また、冷却機能により炎症や赤みを抑えられ、敏感な肝斑の肌にも安全に痛みもなく施術が可能です。さらに肌の新陳代謝を促進し、美白効果も見込めるのが特徴です。
内服薬

内服薬は体の内側から肝斑にアプローチをかけることが可能です。
特にトラネキサム酸(トランサミン)が代表的で、メラニン生成を促す酵素の働きを抑制し、過剰な色素沈着を防ぎます。また、炎症を抑える効果もあり、肝斑の悪化を防止。
トラネキサム酸(トランサミン)は日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されており、安全性と効果が高い薬として広く使われています。
肝斑・シミの予防とセルフケアのポイント
肝斑やシミの予防とセルフケアのポイントは、紫外線対策や生活習慣の改善、そして適切なスキンケアを心がけることです。
これらの基本的な対策を日常生活に取り入れることで、肌への刺激を減らし、色素沈着の悪化を防ぐことができます。詳細な内容については、この後ご説明いたします。
紫外線対策の徹底

紫外線対策の基本は、日焼け止めをこまめに塗り直すことと、帽子や日傘、サングラスなどで物理的に防ぐことです。
日焼け止めは汗や皮脂で落ちやすいため、2~3時間ごとに塗り直すのが効果的です。室内でも紫外線は窓ガラスを通過するため、1年中しっかり対策しましょう。これらを組み合わせることで、肝斑やシミの悪化を防ぐことができます。
ホルモンバランスを整える生活習慣
生活習慣で大切なポイントは、「質の良い睡眠」「栄養バランスの整った食事」「適度な運動」「ストレス管理」の4つです。
これらの基準をわかりやすく図にまとめましたので、ご参考ください。
睡眠 | 6~8時間の睡眠時間を毎日確保し、就寝・起床時間を一定にする |
---|---|
食事 | 肉や魚、野菜を中心にビタミンCやEを含む食品の摂取 |
運動 | 週に3回、30分ほどの有酸素運動が理想 |
ストレス管理 | 趣味やリラックス法を取り入れ心身を整えることが重要 |
上記を整えることで、ホルモンバランスが安定し、肌の健康にもつながります。
肌への摩擦や刺激を避ける方法

肌への摩擦を減らすためには、洗顔時に泡立てネットを使い、しっかりときめ細かい泡を作りましょう。
泡で肌を包み込むように優しく洗い、擦らずに手のひらで撫でるイメージが理想的です。洗顔料は適量(約2cm程度)を使用し、洗顔時間は1分以内に抑えましょう。洗い流す際は、ぬるま湯(約32℃)で丁寧にすすぎ、タオルで優しく押さえるように水分を取ることが大切です。マスク着用時もこまめに交換し、肌との摩擦を最低限にしましょう。
専門医に相談すべきタイミングと診断の重要性
肝斑やシミの自己判断は危険で、正確な診断は専門医に相談することが大切です。
医師の診断により正しい治療方針が決まり、効果的かつ安全なケアが可能になります。この後、自己判断のリスクや複合的な効果的な治療計画について詳しく解説します。
自己判断のリスクと誤治療の危険性

自己判断によるシミや肝斑のケアは非常に危険です。
誤った施術や薬の使用で症状が悪化し、さらに治療が困難になるケースが多々あります。専門医による正確な診断と適切な治療計画が、肌トラブルの改善には不可欠です。
複合的なシミのケースと治療の組み合わせ

複数種類のシミが同時に現れる場合、単一の治療だけでは効果が不十分です。
専門医がシミの種類や状態を正確に判断し、肝斑には刺激の少ない治療や内服療法を、その他のシミにはレーザー治療を組み合わせることで、効率的かつ安全に改善が可能です。これにより治療期間や費用も抑えられます。
まずは無料カウンセリングを

当院は開院19年以来、64,000件以上の肌トラブルに対応してきました。また、当院では目視だけでなく最新肌診断機器を活用し、しっかりシミの種類を判別し、最適な治療をご提案いたします。まずは無料カウンセリングまでお越しください。
大見出し:まとめ|シミと肝斑の違いを理解して最適なケアを
シミと肝斑の見分け方は、色・形・発生部位に注目することが大切です。シミは濃く輪郭がはっきりしていて、顔や手の甲に不規則に現れます。肝斑は薄茶色でぼんやりとし、両頬など左右対称に広がることが多いです。違いを見分けることが重要なのは、効果的な治療法が異なるためです。自己判断でケアをすると悪化する恐れがあります。専門医に診断してもらえば、正確な診断と最適な治療が可能になり、安全かつ効率的に改善を目指せます。まずは専門医のカウンセリングをお受けください。
このページの監修医師

記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
記事医師監修
渡邊雅人
ハートライフクリニック院長
日本美容外科学会(JSAS)会員
アラガン施注資格認定医
ジュビダームビスタ認定医
ジュビダームビスタボリューマXC・ボリフトXC認定医